研究課題/領域番号 |
23K01567
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
青木 克生 明治大学, 経営学部, 専任教授 (20318893)
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研究分担者 |
Olcott George 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (80751552)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | イノベーション / 改善 / 現場マネジメント / グローバル・イノベーション / パウンダリー・ワーク / 定性研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,グローバル・イノベーション促進のメカニズムについて,異なるコミュニティー間の境界のマネジメントに焦点を当てて研究を進めていく。調査対象企業としては,グローバルで競争優位を維持してきている自動車企業,グローバル規模で事業の再構築を余儀なくされている電機企業,さらには国際M&Aを通してグローバル戦略の新しいモデルを開拓している企業を想定している。国内・海外調査によって収集されたデータは定性的方法を通して分析し,それによってグローバル・イノベーション促進に関する理論モデルを構築・精緻化していく。研究成果としては,A国際学会へと論文投稿と,国際ジャーナルへの論文投稿を精力的に進めて行く。
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研究実績の概要 |
2023年度は,初年度として国内・国際調査を実施するとともに,国際学会での報告も実施した。 国際調査としては,5月にトヨタUKのエンジン工場と車両工場で実態調査を実施した。ここでは三本柱活動が海外子会社現場マネジメントの基礎を構築し,それがより高いレベルのイノベーションの実施に役立っていることが確認できた。9月にはドイツ,シュトットガルトでメルセデスベンツを対象とした実態調査を展開した。ここでは,自動車産業のデジタル化・ソフトウェア化の実態を最先端のドイツ企業を対象として調査することで日本企業の今後の課題を導き出すことを目的としていた。この結果,世界10カ国にソフトウェア開発のブランチオフィスを構え,世界の技術・顧客動向をモニターしているドイツ企業と比べた日本企業の対応の遅れが明確となった。 日本国内では,トヨタのグローバルでの知識移転のベースとしての三本柱活動を構築した上郷工場での実態調査,さらにはこれと関わるトヨタOBに対するインタビュー調査を展開した。上郷工場の部長クラスから現場リーダーである工長クラス,さらには現場作業の経験者などを含めて計16人に対するインタビューを展開した。 研究成果の出版という点においては, Operational foundation for TPS implementation: Toyota’s Three Pillar activityと題する論文がAcademy of Management Meeting, 2023で報告がなされている。この論文は,世界最大の経営関係の学会である当学会のオペレーション&サプライチェーン・マネジメント部門でBest paper award のrunner upへと選出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究進捗状況については,「おおむね順調に進展している」との判断が妥当であろう。今年度は,日本企業の中でもグローバルイノベーションに最も成功している会社の一つであるトヨタを対象とした調査を国内・海外の双方において精力的に展開することが可能となった。またトヨタのライバル企業であるドイツのメルセデスベンツの動向も調査することができ,グローバルイノベーションとboundary workを調査する基礎固めが可能となった。 研究成果の出版については,さらにV Temporal interaction using artifacts: How change agents encourage frontline actors to realize bottom-up strategiesと題する論文がOrganization Studiesの査読後の書き直しとしてサブミットされ,現在2回目の審査の下にある。またHow participative management builds the foundation for ambidexterity: Toyota’s Three Pillar activityと題する論文がAcademy of Management Perspectiveへと投稿され,現在審査の下にある。さらに現在は,How can the Toyota Production System continue to be a source of competitive advantage?と題する論文がAcademy of Management Meeting, 2024で報告予定となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は計画2年目となるが,計画に従って,a.文献・理論研究,b.海外調査,c.国内調査,d.論文執筆,の4点に焦点を当ててみていく。 aについては,引き続きAcademy of Management Journal, Academy of Management Review, Organization Science, Organization Studiesなどから関連論文をピックアップし,グローバルイノベーションのマネジメントとバウンダリーワークについての理論動向の包括的な整理を進めていく。本年度は,近年のデジタル化の動向を踏まえ,現場作業者とエンジニアとの間でのパウダリーワーク,さらにはハードエンジニアとソフトエンジニアとの間でのパウンダーマネジメントなどに注目していく予定である。 bについては,昨年度は欧州企業の動向,特にIndustry 4.0などについての調査を実施したが,そこで現在最も急速なスピードでイノベーションを実施しているのは中国企業との情報を得ることができた。よって今年度は中国企業についての調査を実施する予定である。 cについては,昨年度に引き続き,トヨタ系企業の調査を展開する予定である。トヨタ本体における現場作業者やエンジニアにインタビューを展開すると同時に,トヨタ系サプライヤーであるデンソー,アイシン,三五,フタバ産業などで国内調査を展開する予定である。 最後に,dの論文執筆については,Organization Studies, Academy of Management Perspective, Academy of Management Developmentなどのトップジャーナルに執筆した論文の投稿・書き直しをする予定である。
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