研究課題/領域番号 |
23K01579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
永山 晋 一橋大学, 大学院ソーシャル・データサイエンス研究科, 准教授 (10639313)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 能動的推論 / 大規模言語モデル / シミュレーション / 意思決定 / 探索と活用 / 概念 / 概念シフト / モデルベース / 介入実験 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、生物の知覚・行動・学習を統一的に説明する能動的推論をもとに、概念の変化のメカニズムと変化に向けた介入方法を解明することを目的とする。そのために、概念の変化を再現するシミュレーションモデルを構築し、反実仮想分析を通じて概念の変化への有効な介入策を考案する。そして、その介入策の有効性を人を対象とした実験で検証する。本研究によって、イノベーションにおける新技術の採用、創造性における新規視点獲得、組織マネジメントにおけるアイデンティティ変化など、概念の変化に関わる諸理論を能動的推論の観点から統合的に説明し、現象の説明と制御を行う方法論を提示することが期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究は、概念の変化のメカニズムと概念の変化に向けた介入方法の解明に向け、シミュレーション研究と実証研究の双方を行うことを予定していた。2023年度の実績として挙げられるのが、働き方が固定的オフィスから多拠点勤務に変化した際の、ウェルビーイング、創造性、仕事へのエンゲージメントの主観的評価への影響を明らかにした実証研究である。この研究では、東京都市圏における2603件の調査回答を分析し、多拠点勤務が創造性、ウェルビーイング、エンゲージメントとそれぞれ正の関係があることを示した。本研究から、日常的な生活環境をいかに変化させるか、自律性を高める介入が望ましいという示唆が得られた。本研究は、Journal of Creativity(査読付)に公刊されている。 もう一つの関係する実績は、企業のアテンションの独自性と企業行動の関係に関わる研究である。本研究については、査読付学術誌の3度目の改訂を行い、投稿した段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況について3点説明する。一つ目は、シミュレーション研究である。大規模言語モデル(以下、LLM)の登場により、LLMエージェントを実験対象とする新しいシミュレーションのアプローチが生まれた。このアプローチは、概念の変化のメカニズムを明らかにするシミュレーション研究の土台となりうる。そこで、2023年度は、能動的推論とLLMエージェントに対する実験シミュレーションに関わる方法論の確立に向けた研究を行った。本研究は、2024年度のIC2S2に学会発表用論文としてまとめた。 2つ目は、概念の変化を促す介入を行う実証研究についてである。現在、パイロット調査を行うべく準備を進めている。現状では、サーベイ項目を整理し、介入のためのLLMを活用したアプリを作成している。また、能動的推論を活用した研究を進展させるため、米国の神経科学研究所を訪問し、共同研究者と計画をより洗練させた。 3つ目は、特定の環境に埋め込まれたオフィスワーカーの行動や認知の変化についての実証研究である。オフィスが固定的環境から柔軟な環境に移行することで、プレゼンティズムウェルビーイングの主観的評価にどのような影響を与えるかを明らかにするため、移行前後にサーベイ調査を実施した。同時に、対象者の時間選好にどのような影響を与えるかを明らかにするために、時間割引率に関わるオンライン実験を行った。現在、取得したデータを分析している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で整理した3点についてそれぞれ推進方法を説明する。一つ目のLLMを活用したシミュレーション研究については、いくつかの追加実験を行った後、査読付学術誌に投稿すべく論文執筆を行う予定である。 2つ目の、概念変化の介入実験研究については、概念変化の測定タスクを構築した後、パイロット研究を実施する予定である。パイロット研究が完了し次第、倫理審査などを含めた本番の実験準備を進める。 最後のオフィス環境の変化によるプレゼンティズム、時間選好への影響に関する実証研究については、既に全てのデータが得られた状態のため、データ分析を行い、その結果をもとに査読付学術誌に投稿すべく論文執筆に向けて研究を進めていく。
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