研究課題/領域番号 |
23K01580
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
馬 駿 富山大学, 学術研究部社会科学系, 教授 (00303206)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 経営理念の浸透 / 従業員の行動 / 従業員満足度 / 仕事への達成度 / 人事評価 / 経営理念 / 組織コミットメント / 価値的コミットメント / 価値創造行動 / モチベーション |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、まず従来の情緒的,継続的,そして規範的コミットメントに対する測定尺度を再確認しながら,新たに価値的コミットメントに対する測定尺度を策定したうえ,新しい分析フレームワークを構築し,理論仮説を立てる。そして,以上の分析フレームワークに基づき,経営理念の浸透プロセスに注目し,アンケート方式で複数年で追跡調査を実施し,その結果と企業の人事データとマッチングしたパネルデータを用いて仮説を検証する。
|
研究実績の概要 |
2024年1月に、「経営理念の浸透が従業員の行動,満足度および成果に与える影響に関する実証分析─S社のセールスドライバーに対するアンケート調査の結果に基づき」(村木広司・田口義隆・馬駿(2024)『日本労働研究雑誌 』第763号,pp.50-61)論文が公刊された。その論文の概要は以下の通りである。 本論文は,経営理念の浸透と行動およびその結果との関係に関する理論モデルを構築したうえで,運輸会社であるS社の貨物取扱とセールス業務を担うドライバー(SD)を対象に実施したアンケート調査の個票データと人事データを用いて,SDの経営理念への意識が彼(彼女)らの行動に与える影響,そしてそれらの行動が満足度,および達成度に与える影響,さらに会社からの人事評価の結果との関連性についての統計分析を行い,S社の経営理念の浸透結果と課題について検討したものである。分析結果から主に次の結論が得られた。まずSDは,「経営者が経営理念を実行している」と感じていると,会社およびワークライフバランス(WLB)への満足度が高くなり,仕事への達成度も高い。そして,SDは,5つの行動規範のうち,「顧客第一」「福寿草精神」「社会の大動脈」「創造と革新」の浸透により,顧客満足に対する達成度が高くなるが,「和と協調」の浸透により,会社とWLBへの満足度が高まり,仕事への達成度も高くなる。さらに顧客満足志向の行動は人事評価に大いに反映されていることも明らかにされた。一方,いくつかの課題も引き出された。S社の経営理念の浸透に関する分析を通して,企業が経営理念を従業員に浸透する際,その経営者理念と従業員に求める行動規範との関連性,そして浸透過程における教育と人事評価との一貫性を如何に保つかは極めて重要だという示唆が与えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度では、先行研究をレビューしながら、研究フレームワークの構築と理論仮説を検討し、仮説検証のためのアンケートを作成したうえで、大手輸送企業S社の協力を得て従業員に対するアンケート調査を実施した。 また、S社で以前実施された従業員アンケート調査の個票データと企業内人事データをマッチングして、経営理念の浸透が従業員の行動と満足度に与える影響、さらに従業員の業績に与える影響について分析を行った論文を学会で報告し、そこで得られたコメントに基づき、論文を修正したうえで、『日本労働研究雑誌』に公刊された。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、まず先行研究を更にレビューしながら、当初設定した仮説を再検討する。そして、これまでS社で実施された3回の従業員アンケートの個票データと企業内人事データをマッチングしてパネル分析を行い、仮説を検証する論文にまとめ、学会で報告する。 また製造企業A社からの協力を得て、従業員を対象とするインタビュ調査やアンケートを実施する。 さらに、他の企業に対するインタビュー調査を実施しながら、仮説検証のためのアンケート調査に協力してくれることを打診してみる。
|