研究課題/領域番号 |
23K01586
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 中央学院大学 |
研究代表者 |
上池 あつ子 中央学院大学, 商学部, 准教授 (40570578)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | メタナショナル経営 / インド製薬企業 / 吸収能力 / アウトソーシング / エコシステム / 新興国企業の競争優位 / イノベーション |
研究開始時の研究の概要 |
先進国の企業および研究機関との戦略的提携を通じたイノベーションを推進することで、インド製薬企業は急速に成長を遂げている。インド製薬企業のグローバル市場での成長は、外部提携を積極的に活用し、自国の劣位を克服し、世界規模で価値創造を行い、競争優位を構築する戦略によるところが大きい。これは、自国の優位性のみに立脚した戦略をとらず、世界規模で競争優位を確立する「メタナショナル経営」戦略に合致する特徴である。本研究はインド製薬企業を事例として、新興国企業のメタナショナル経営の実態を明らかにし、メタナショナル経営が新興国企業にとって有効な国際経営戦略であるのかどうかを検証する。
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研究実績の概要 |
メタナショナル経営に必要な能力の獲得に関して、自社のR&D能力の欠如を補完するためにR&Dを外部依存するが、自社の吸収能力が低いと、外部知識を適切に評価できず、有効活用が難しい。メタナショナル経営の実現性を高めるには、自社研究開発と外部依存の両立が重要となる。そこで、インドの企業財務データベースであるProwess dxを使用して、インド製薬企業のロイヤルティ支出、M&Aデータなど知識の外部依存度に関するデータを抽出し、整理を開始した。インド製薬企業のロイヤルティ支出は総じて低い水準にとどまっていることが明らかになった。財務データからは技術の外部依存度は必ずしも高くないことが判明している。知識や技術を外部から獲得するルートとして、研究開発提携だけではなく、製造提携やアウトソーシング事業も想定できるため、インドの研究開発製造受託ビジネスについても研究を開始した。メタナショナル経営にはオープンイノベーションをはじめバリューチェーン上の組織間の協業やインタラクションが重要となると考え、その実態や構造を明らかにするため、エコシステム論を援用するため、製薬産業のエコシステムについての研究を開始した。その成果の一部として、所属先の紀要に研究ノート「バイオ医薬品産業におけるアウトソーシングビジネスの台頭とインドの医薬品開発製造受託企業の成長可能性:エコシステム論の視点から」を発表した。 2024年2月には、タミル・ナードゥ州チェンナイ市のインド工科大学マドラス校に訪問し、同校のSubash S教授と面談し、企業の吸収能力、リバースエンジニアリングと吸収能力の関係について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インド企業財務データベースであるProwessdxを購入し、それを活用してインド製薬企業のロイヤルティ支出やM&A情報を整理できたことによって、アンケートやヒアリング調査の質問事項の内容がより明確化した。新型コロナウイルス感染症の流行によって断絶していたインドおよび日本の製薬産業関係者とのネットワークを再構築することができており、インドにおける現地調査の訪問先などの確保の目途が立っていることがある。また、メタナショナル経営のフレームワークに加えるエコシステム論の議論についての文献研究が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、引き続き整理したProwessdxのデータを使用して、共同研究者(神戸大学佐藤隆広教授)と技術や研究開発能力の外部依存度の推計に向けての作業を進める。また、インドの現地調査を通じて、企業に対するアンケート調査やヒアリング調査を進め、財務データですくえない情報を収集し、分析する。さらに、産業政策との共進化に関する研究を深める。
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