研究課題/領域番号 |
23K01625
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 苫小牧工業高等専門学校 |
研究代表者 |
金子 友海 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (20369242)
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研究分担者 |
姜 理惠 法政大学, デザイン工学部, 教授 (90570052)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 事業承継 / ファミリービジネス / 家庭内コミュニケーション / ビジネスゲーム / 出店型教育 |
研究開始時の研究の概要 |
事業承継研究において「親族内コミュニケーション不調」が親族間承継の阻害要因であることは先行研究で明らかになっているが、家族内のやりとり自体を調査するのが困難であり、その阻害に至るプロセスの詳細、構成要素は未だ不明のままである。そこで本研究では、独自に開発した起業家教育教材(SCCゲーム)を家族協働で企業経営する教材に改定し、家族内コミュニケーションを、ゲームを通じて再現・観察する研究デザインを考案した。この実験の効果検証や参与観察による定性・定量データから、事業承継に資する家族内コミュニケーションプロセスの詳細、構成要素の解明に挑む。
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研究実績の概要 |
申請者が開発した起業家教育教材SCCゲームを家族協働で企業経営する教材に改定し、家族内コミュニケーションについてゲームを通じて再現・観察する研究デザインを考案したが、最大1日と想定していた「親子での体験セッション」は長すぎるとのことで、半日程度で終了するゲームが必要となった。そこで、新たに体験セッション用のキッチンカーゲームを考案した。このゲームは子供たちの好きなクレープ屋を題材としており、親子でのゲーム体験を通してスモールビジネスを疑似体験できる。ゲームの構成は、クリームやバナナ、チキン、ハムなどの食材を使って、顧客となるゲーム参加者のニーズを想像しながら、2種類のクレープを考案する。それぞれの食材にはコストが発生するので、その点も考慮しながらクレープを作り、自分たちの儲けを加えて値付けを行う。ゲーム参加者がそれぞれ手持ちお金の中で、自分以外のプレイヤーからクレープを購入する。その売り上げから仕入れ値を引いて、利益が確定する。学生同士のテストプレイを重ね、最終的には小学生にプレイしてもらい、小学生でもわかる内容であることを確認できた。簡単がゲームであるが、「付加価値をつけることにより、安く作って高く売る」というビジネスの基本を体験できる。このゲームの実施マニュアルを作成し、ゲーム前後のアンケート項目についても検討し、研究ガイドを作成した。このゲームについてはISAGA Simulation & Gaming Competition (ISGC2023)にて発表を行い「Excellent Gaming Award」を受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和5年度には実施計画にある「本モデルの研究ガイド作成」や「パイロットテスト実施」と並行して、令和6年度に計画していた「データ収集」 についても、金沢、鯖江、東京でファミリービジネス親子のデータを多数とることができ、ファミリービジネス内における親子のコミュニケーションを通じた起業家マインドセットの醸成と、知識構築についての定性研究を展開した。また、ファミリービジネス内における親子のコミュニケーションについて出店型教育を通じた実験を実施した。その定性調査により、ファミリービジネス親子と一般ファミリーの違いが明らかになりつつあり、投稿を準備中である。このように、当初、令和6年度以降に計画していた研究を前倒して行い、研究が加速している。研究は計画以上に進展しているが、ファミリービジネス親子についてのデータ収集はそのサンプル数が少ないこともあり、より多くサンプルを集めることができるため研究遂行上のメリットは大きい。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度も引き続き、ファミリービジネス親子についてのデータ収集を行うとともに、ファミリービジネス内の親子コミュニケーションについて更なる実験セッティングの探索し、より多面的なデータ収集を行う。また、得られた知見を用いた教育システムの構築を目指して7000件の起業家教育論文レビューに着手し、これにより尺度や実験セッティングの端緒を掴むことを想定している。これは、研究成果の社会へのフィードバックという点において、その汎用性を高めることができ、本研究のアウトプットとして重要と考える。 昨年度に引き続き、研究内容の社会での受容度を確認することも兼ねて、国内外での学会発表を行う。キッチンカーゲームについては、ISAGA2024においてワークショップを開催し、多くの研究者に体験してもらうことを通して、外国におけるファミリービジネスの事業承継についての知見も集め、その良いところを本研究に取り込む。
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