研究課題/領域番号 |
23K01646
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊藤 龍史 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60445872)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 価値の共同破壊(価値共壊) / コンタクトセンター / サービス / カスタマーアントレプレナーシップ / 価値共創 / 理論構築 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、マーケティングをはじめとした経営全般に関し、国内外の学術界・実務界において「価値共創」 の概念が注目されている。一方、価値共創と常に同時生起し得るはずの「価値共壊」の概念についてはほとんど理解が進んでいない。本研究の目的は「技術媒介型サービスのうち、特にコンタクトセンターにおけるサービス提供を研究対象として、そこで生じ得る多様な価値共壊のプロセスを研究することで、価値共壊プロセスに関する理論を構築すること」にある。この研究目的の達成を目指すことで、学術および実務において従来の「価値共創」概念をより実りある形で研究・教育・実装できるよう貢献したい。
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研究実績の概要 |
初年度では主に、2種類の対照的なサービスを研究対象として、価値共同破壊の事例およびモデル構築に取り組んだ。具体的には、1つが国内におけるコンタクトセンターでの遠隔サービスに関する事例調査であり、もう1つはカフェでのサービスに関する事例研究である。 前者に関しては、コンタクトセンター業務を展開しているKDDIエボルバ(現:アルティウスリンク)におけるオペレーター等への聞き取り調査(プレ調査)を行った。また、後者に関しては米国の大学研究者を協力者として研究を行い、国際学会ASBBSで「Value Co-destruction and its impact on third-party customer : An Exploratory Study」発表した。現在、前者のプレ調査で得られた情報を踏まえて、計画時からやや変更した新たな研究方法(以下の項目「現在までの進捗状況」で説明)で使用するシナリオを作成中である。後者に関しては現在、国際学会ASBBSによる論文誌「Journal of Business and Behavioral Sciences」に投稿するための論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究開始時の計画としては、臨界事象法によるインタビュー調査をつうじてコンタクトセンターにおけるサービスに関する事例を収集し分析にかけるというものであったが、コンタクトセンターでの予備的調査をつうじて、より適切な方法に切り替える必要性が出てきた。 具体的には、コンタクトセンターでの問い合わせ事例の機密性、および本研究が必要とする種の事例の少なさという問題に直面した。さらには、価値共同破壊という現象をより精緻に理解するためには、コンタクトセンターに代表される「キュー(手がかり)の少ないサービス」とは対照的なサービスにおける価値共同破壊を比較対象として研究する必要性も出てきた。 前者の課題に対応するために、当初予定していた研究方法の一部を変更することにした。すなわち、当初は事例収集の方法として「臨界事象法によるインタビュー調査」を予定していたが、より適切な方法として「シナリオによる事例収集」に切り替えた。また、後者の課題(コンタクトセンターにおけるサービスと対照的なサービスに関する研究の必要性)については、当初予定していて研究計画に加えて、カフェにおける価値共同破壊の研究を追加して実施した。 これらの変更を行ったため、当初の研究計画に追加部分と修正部分が発生した結果、全体的にやや遅れが発生している。そのため、上記区分を「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
上記「現在までの進捗状況」で示したように、本研究の推進において当初の計画よりもやや遅れが生じている。正確には、追加的なステップ(コンタクトセンターにおけるサービスと対照的なサービスに関する研究の必要性)や修正点(研究方法の一部変更)が発生している。 追加的なステップに関しては初年度でほぼ対応が終了したものの、研究方法の一部変更に関しては次年度(今年度)にもその影響が残る。そこで、今後の研究においては、事例の収集と分析を二段階にわけることで効率性を向上させたい。すなわち、第一段階では各種のコンタクトセンターにおける対応事例を広く収集し、それにもとづき簡易的なシナリオを準備して調査・分析を行う。第二段階ではさらなる事例調査を踏まえて、より多様かつ充実したシナリオを用意して分析を行う。第一段階で一定の研究成果を確保しつつ、第二段階においてその結果を補強あるいは高度化するという方策で研究を推進する。
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