研究課題/領域番号 |
23K01648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
閔 庚ヒョン 佐賀大学, 経済学部, 教授 (40508206)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 店内コミュニケーション / 店舗特性 / 店頭広告 / 店舗評価 |
研究開始時の研究の概要 |
多種多様な業種・業態の店舗が熾烈な競争の構図のもとで苦戦を強いられている中、店舗の構成要素や、店内の広告を含む各種戦略ツールの効果測定は、消費者の消費行動と店舗の差別化戦略を立案・管理する観点において、克服すべき喫緊の課題となっている。本研究では、店舗形態と店頭広告が店内における消費者の行動的反応に果している調整的役割を明らかにするための検証を行うことで、より精巧かつ効果的な店内コミュニケーション戦略の立案・管理に有効活用される方法論を見出すことを目的としている。
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研究実績の概要 |
本研究は、店舗属性および特性と店内広告の成果が消費者の行動的反応へ移行される過程をより精巧に規定しつつ、店内コミュニケーションの成果を牽引する先行条件の詳細や、店頭広告及び店舗特性の相違形態が後続過程における単一及び相互効果に関する検証を行うことで、諸過程において店内の探索・購買動機の重点的価値の類型的特徴が果たす調整的役割を抽出することを目的としている。本年度は次年度実施予定のシナリオ法による実験調査に向けて必要機材の確保及び先行研究の関連情報に基づき、実験設計の再検討と補完作業を行った。その準備作業の一環として本年度は合計1000名を対象に事前調査を行った。シナリオ法による実験調査をWeb上で具現する形式で設計を行った本調査では、「店舗態度と広告評価の測定」「店舗特性と店頭広告の相互効果」「店舗態度および広告評価の店舗ロイヤルティへの影響」に焦点を当てつつ、店舗及び広告情報の認知形態及び知覚水準が店舗特性と店頭広告の評価を介し消費者の行動的反応へ移行される経路を明らかにするための基礎的検証を行った。その結果、まず、店舗態度の広告評価への影響と、店舗態度及び広告評価が店舗ロイヤルティに対する影響が統計的に有意であることが検証され、店舗ロイヤルティの水準が広告評価と店舗態度により規定されていることが確認された。また、店舗特性に関連する価値体系を実用及び快楽的価値に分類した場合、それぞれ「広告理解・商品の継続購入意向」、「広告信頼・店舗態度・店舗ロイヤルティ」が統計的に有意な水準で強化された。これにより諸効果において店舗特性の認知形態が果たす調整的役割が明らかとなった。 本年度の調査結果を基に、次年度は回答者に提示される店舗形態や店頭広告の組合せを増やしつつ実店舗の環境的要素をより強化した調査を行うことで、条件別のミュニケーション効果を識別するための検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度実施した事前調査の分析結果により、店舗に対する消費者の行動的反応に影響を与えるメカニズムとして、店頭広告に関する評価を中心とした経路と、店舗そのものに対する態度を主たる評価項目とする経路が互いに結合される過程の一端を顕在化させることができた。また、店舗特性の認知形態を実用的価値と快楽的価値に分類し諸効果を比較することで、両価値体系が諸過程において果たしている調整的役割が明らかとなった。分析結果の示唆する主な意義は、店舗の典型的特徴に対する認知形態を起点とし、本研究の検証モデルで提示されている変数間関係と、広告評価及び店舗態度の誘因効果が互いに結合される経路が顕在化された点にあると言える。特に店舗特性の認知形態のように、諸効果を分類するための変数の所在を明らかにしたことで、当初想定していた検証モデルの初期過程の妥当性を確保するとともに、店内コミュニケーション効果の向上と戦略オプションの多様化を実現するのに有効活用できる基礎的知見が得られたと考えられる。本年度の調査は、令和6年度実施予定のシナリオ実験と令和7年度実施予定の模擬店舗実験を設計する上で重要な理論的根拠となるものとして想定した調査であり、その分析結果は次年度実施予定の調査で想定される検証経路の有意性を十分に裏付けるものとなっている。その意味で当初の研究計画と照合すると、現時点における本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度実施した事前調査の分析結果を基に、「消費者の行動的反応に対する店舗形態及び店頭広告のメッセージ形態の影響」「店舗および店頭広告の誘因効果が消費者の選択的注意に与える影響」「諸効果の調整及び操作可能性」といった問題に焦点を当て、複数の店舗および店頭広告からなるアンケート調査を実施することで、条件別のコミュニケーション効果の測定及びその精度を向上させるための検証を行う予定である。主たる検証項目としては以下の2点を想定している。 1.店舗形態及び店頭広告のメッセージ形態による効果:条件別の店内コミュニケーションの測定方法及びその精度を向上させるための検証を行うべく、店舗属性・店舗特性・店頭広告に対する評価と消費者の行動的反応の間に、諸評価の成果が反映される後続変数として店舗・広告エンゲージメントを媒介変数として追加した上で、評価対象となる店舗及び広告に用いられるターゲットブランドを選定し、調査を行う予定である。特に、店舗特性については、店舗イメージに関する情緒的反応と店舗の擬人化を前提とした店舗個性の集合に分類し測定することで、店舗特性の独立効果をより鮮明に顕在化させるとともに、項目間の相対的重要度を抽出・識別するために、店舗に関連する選好価値との照合を行う予定である。 2.店舗要因と店頭広告の誘因効果に対する知覚水準の変化:消費者の行動的反応に影響を与える店舗要因と店頭広告の効果、各操作誘因に対する知覚水準との関係を検証すべく、複数の店舗と店頭広告をインプットした条件のもと、インプット要因に対する効果及び知覚水準の変化を確認する予定である。また、店舗要因と店頭広告による効果を明確に区別し、両者間の優劣関係を明らかにするために、回答者に提示する店舗形態及び店頭広告のメッセージ形態の組み合わせを調整しつつ、それに関連する評価を同一項目で行うことを想定している。
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