研究課題/領域番号 |
23K01655
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
李 瑞雪 法政大学, 経営学部, 教授 (20377237)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ロジスティクス・クラスター / 物流集積 / 共同物流 / 中核的輸送サービス / グローバルサプライチェーン / クラスターのダイナミクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はロジスティクス・クラスター(以下、LC)の形成メカニズムの解明を目的とする。LCに関する既存研究は経済的メリットに集中する一方、形成メカニズムに焦点をあてる研究が少ない。本研究はこのギャップを埋めるべく、システマティック・リテラチャー・レビュー、プロセス・トレーシング、質的比較分析など多様な研究手法を用いて、LC形成メカニズムの命題の導出と検証を行う。LCの生成メカニズムが解明できれば、LCのライフサイクル理論における欠落する部分を補い、クラスターのダイナミクス理論をより豊かにすることに貢献するものと期待できる。
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研究実績の概要 |
本研究はロジスティクス・クラスターの形成メカニズムの解明を目的としている。今年度の研究実績の概要は以下の通りである。 今年度では、まずシステマティック・リテラチャー・レビューを用いて、2000年以降に刊行されたロジスティクス・クラスターに関わる208篇の英文査読論文に散在する関連知見を体系的にレビュー・分析することを通じて、ロジスティクス・クラスターの形成メカニズムを構成する命題を導出した。この命題導出はロジスティクス・クラスターのライフサイクル理論における欠けていた部分を補完し、クラスターのダイナミクス理論をより豊かにしている。また、本論文の知見は、ロジスティクス・クラスター形成における地理的カリスマ性が単なる所与としての有利な自然条件だけではなく、戦略的取り組みと複合的要素の相互作用によるものであることを示している。 また、中国の義烏と臨沂における卸売市場群から派生したロジスティクス・クラスターに対して現地調査を実施し、輸送ノード・ベース型のロジスティクス・クラスターと比較して、集積の生成過程および内部構造の違いについて踏み込んだ情報収集を行った。収集した情報を元に、論文執筆に向けて分析を進めている。この調査研究はロジスティクス・クラスターの多様な形成経路の解明につながるものと考える。 さらに、ロジスティクス・クラスターのライフサイクルに関する歴史的経験を把握するために、イギリスや中国などの関連アーカイブ資料の所在を調査しており、閲覧・整理の実施に向けて準備している。また、物流集積内における物流企業とその他のタイプの企業の相互作用を発見するために、大阪港や長崎港などのロジスティクス・クラスター内にある製造業の物流拠点と物流機器企業の拠点に対してインタビューと現場観察を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存文献に散在するロジスティクス・クラスターの形成メカニズムに関わる知見を網羅的かつ体系的に整理し、検証対象となる命題を導出した。また、ロジスティクス・クラスターの多様な形成経路を裏付ける事例研究を進めることができている。 現地調査の過程で、物流機器システムの発展がロジスティクス・クラスターの形成と発展に大きなインパクトを与えている事象を多く見受けられる。しかし、このことについて、既存文献で関連知見は少ない。事例の積み重ねを通じて、研究命題の修正を行う必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2年目では、物流機器システムの進化によるロジスティクス・クラスター形成・発展へのインパクトを示す事例とデータを収集することに注力する。同時に、卸売市場群から派生したロジスティクス・クラスターの形成プロセスに関する論文を完成して学会報告およびジャーナル投稿を行う。また、ロジスティクス・クラスターのライフサイクルに関わる歴史文献を紐解くために、欧州や中国などの図書館で閲覧作業を開始する予定。
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