研究課題/領域番号 |
23K01657
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07090:商学関連
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
古川 裕康 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (10756224)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | パーパス / ミッション / ネガティブな原産国イメージ / グローバル・マーケティング / 原産国イメージ |
研究開始時の研究の概要 |
ネガティブな原産国イメージがどのような原因やプロセスで発生し,人々の消費行動に影響を与えるのかといった先行要因については研究の蓄積が進んでいる。一方で,ネガティブな原産国イメージを抑制する具体的な要素については,企業の国際展開を加速させるポイントであるにも関わらず未だ学術的な検証が進められていない。その理由は抑制要素の特定が進んで来なかったためである。本研究はネガティブな原産国イメージの抑制要素について,①製造過程,②CEO,③理念やパーパスといった具体的要素に着目しながら,その効果を検証する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的はネガティブな原産国イメージの抑制効果について検討する事である。特に①商品の製造過程の共有,②CEOの露出,③理念やパーパスの共有といった点に焦点を絞り,これらが与える抑制の効果やメカニズムについて明らかにするものである。 本年度はまずパーパスについての概念を整理し直すところから実施した。上述した①や②については既に測定尺度や概念規定が存在している一方で,パーパスに関しては企業経営において重要な概念である一方で学術的な位置づけが不明瞭な部分が存在している。そこで本研究ではパーパスの概念がどの様に構成されているか,そして,それがイメージにどの様な影響をもたらすのかについて検討した。 その結果,企業の掲げるパーパスとミッションの関係性は,CSV(Creating Shared Value)とCSR(Corporate social responsibility)の対応関係と重なる事が明らかになった。企業の「責任」として位置付けられ,時には良いイメージの形成を目的とした戦略的な取り組みであるCSRは,基本的に企業がコストを掛けて「何」をするかという点に焦点が置かれる。一方でCSVは企業活動を営む事自体が社会にとって有用であるという位置づけであり,その企業が存在する意義,そしてその企業は「何者か」という点に焦点がある。本研究で取り扱うパーパスについても,この様な点においてミッションとは峻別されると考えられる。 特に近年においてはCOVID-19による世界的な影響を踏まえ、人々が企業と共に社会を共創しようとする傾向が強まっている事が既存研究において確認されている。この点が近年におけるパーパスへの注目を加速させ,人々にポジティブなイメージを与える背景であると考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の調査実施段階においてパーパスの概念について再確認と改めての概念整理が必要になったため,当初の予定より若干の遅れが生じる事になった。しかし本研究で取り扱う概念について丁寧に再確認ができたため,今後の研究進捗において大変重要なプロセスであった。本年度の研究成果は最終的に3本の論文ならびに,学術雑誌への掲載という形にまとめる事で社会へ発信する事ができた。
|
今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要にて示した通り,本研究では①商品の製造過程の共有,②CEOの露出,③理念やパーパスの共有がどの様にネガティブな原産国イメージを低下させるかについて検証するが,今後は①から順にデータを収集しながら検証を重ねる。特にネガティブな原産国イメージを低下させるためにはブランドに対する共感や信頼といった概念が重要であることから,これらの変数もモデルに考慮し本メカニズムについて検証する。更に本モデルを年齢,所得や国,文化圏等といった様々な条件下において比較検証し,要素間の関係性の強さが条件の違いによってどう変化するのかについても検討する。調査設計には多くの時間を要しないため,次年度は得られたデータの検証に時間を掛ける。
|