研究課題/領域番号 |
23K01671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤山 敬史 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (00756463)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 従業員 / 外国人株主 / 利益の質 / 利益平準化 / 銀行 / 取引先 |
研究開始時の研究の概要 |
従来、日本の国レベルのコーポレート・ガバナンスは多様な利害関係者を重視するステークホルダー型であったが、米英のように株主をより重視する株主型へと向かって変化してきている。会計学ではこの国レベルのコーポレート・ガバナンスが利益の質(性質)に影響を及ぼす要因として議論されてきた。また、各利害関係者が望む利益の質はかならずしも一致するとは限らない。このような学術的・社会的背景の下、本研究では、それぞれの時代の利害関係者(銀行、従業員、取引先、外国人株主)が利益の質(利益平準化や保守主義、利益調整など)にどのような影響を与えてきたのかを検討する。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、本年度、次の3つのプロジェクトについて研究活動を実施した。すなわち、①時系列における利益の質の推移、②従業員が減損会計処理に与える影響、③外国人株主が利益の質に与える影響である。 ①では、利益の質のうち利益平準化に関する分析を実施した。分析期間は1976年から2020年の45年間である。1990年代および2000年代前半に日本企業が報告する利益平準化の程度が低下していることが観察された。また、45年間における利益平準化は時期により情報提供的および機会主義的なものであるように観察されているが、時系列における強い傾向が観察されたわけではなかった。 ②では、手作業により有価証券報告書から減損損失や経営者の属性に関するデータ収集を行った。一部、分析を進めている。また、労働組合に対するインタビューを実施した。 ③では、外国人株主が日本企業の利益の質に与える影響について検証仮説の検討を行った。日本企業を対象にした先行研究や国際比較研究を参考にしながら検討を行ったが、日本企業を対象にした先行研究を拡張すべく、小規模保有の外国人株主がどのように日本企業の利益の質に影響を与えるのかについて検討したが、より説得的な仮説が必要な段階であり、データの加工・分析まで現時点で進むことができていない。予備的な分析として、どのような企業の外国人持株比率が高くなるのかについて企業特性の分析を実施した。 その他、従業員の社内預金や取引先が日本企業の利益の質に与える影響について仮説およびリサーチ・デザインの検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
①時系列における利益の質の推移については、利益平準化に関する基礎的な分析が完了している。今後、学術誌に掲載させるために論文として改善が必要な段階である。また、利益平準化以外の利益の質については検討がやや遅れている。 ②従業員が減損会計処理に与える影響については、予備的な分析が完了し、追加的なデータの収集がおおよそ完了している。また、実務家に対するインタビューの一部を実施した。 ③外国人株主が利益の質に与える影響については仮説の検討を行った。また、予備的な分析として、外国人持株比率と企業特性に関する分析を実施した。しかしながら、膨大な時間を要するデータの加工・分析を実施する前に、説得的な仮説を設定するには至っておらず、引き続き仮説の検討が必要な段階である。したがって、当初の計画よりも進捗がやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
①時系列における利益の質の推移については、利益平準化に関する論文の質を向上させるとともに、他の利益の質についてリサーチ・デザインの検討および分析の実施を行う。 ②従業員が減損会計処理に与える影響については、データの収集を完了させ、分析を実施するとともに論文の執筆を開始する。また、実務家に対するインタビューをより実施し、論文の質を向上させる。 ③外国人株主が利益の質に与える影響については説得的な仮説の構築を行い、データの収集・加工を実施する。
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