研究課題/領域番号 |
23K01675
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
石川 博行 大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60326246)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | コスト構造 / 配当政策 / コスト粘着性 / 配当粘着性 / 収益性シグナリング仮説 / 価値関連性 / コロボレーション効果 / ペイアウト政策 / 自社株買い |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、固定費と変動費といったコスト構造が、日本企業のペイアウト政策にどのような影響を与えているのかを実証的に解明することである。具体的には、コスト構造尺度を説明変数、増配企業を識別するダミー変数等を被説明変数とする回帰モデルを推定する。米国とは異なり、配当について収益性シグナリング仮説が成立する日本では、コスト構造尺度の係数がプラスに推定されることが予想される。本研究は、コスト構造という新たな視点から、日本企業のペイアウト政策の決定要因を実証的に解明するものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、固定費と変動費というコスト構造が日本企業のペイアウト政策に与える影響を実証的に解明することを目的とする。初年度は、次年度以降の本格的な実証分析に必要なデータベースの構築を中心に行ったが、パイロット・テストとして、以下の2つの分析を実施した。第1に、コスト構造と類似した概念であるコスト粘着性が株価形成に与える影響に関する実証分析である(石川, 2024)。ここでコスト粘着性とは、増収時のコスト増加額より、同額減収時のコスト減少額の方が小さいという非対称なコスト・ビヘイビアを指す。1996年~2023年の延べ42,167企業年をサンプルとして、たとえば、コスト粘着性が高い企業の次期増配シグナルが、プラス・アルファの評価を受けているという証拠を得た。第2に、配当粘着性が株価形成に与える影響に関する実証分析である(近刊)。配当粘着性は、過去10決算期について、増配(復配を含む)または安定配当ならば1、減配(無配転落を含む)または無配継続ならば0を与え、当該10決算期について合計した値と定義された独自尺度である。1996年~2023年延べ38,221企業年をサンプルとして、たとえば、配当粘着性が高い企業の次期増配シグナルが、プラス・アルファの評価を受けているという証拠を得た。 コロボレーション効果に関する上記の結果は、日本企業のコスト粘着性や配当粘着性に、将来業績に対する経営者の自信という、配当と同様の情報内容が含まれていることを証拠付けるものであり(収益性シグナリング仮説)、次年度以降におけるコスト構造に関する本格的な実証分析に有益な示唆を提供する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、日本市場の実際のデータを用いて、コスト構造とペイアウト政策の関連性を実証分析するものである。初年度は、関連分野の論文のサーベイを行いつつ、同時並行的に、すでに保有されている年次データを用いてパイロット・テストを実施した。その実証結果をまとめたワーキング・ペーパーを内外の研究者に配布し、内外の研究者と意見交換した。2年目以降の本格的な分析を行うためのリサーチ・デザインの構築に際して、初年度の研究成果が与える貢献は大きい。以上から、研究活動はおおむね順調であると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の研究成果に対して得たコメントに基づいて、すでに初年度の実証分析の精緻化を図っている。また初年度の研究成果を踏まえた上で、本研究課題のリサーチ・デザインを構築する。その後、データベースが完成次第、本研究課題の実証分析に取りかかる。
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