研究課題/領域番号 |
23K01678
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
福島 一矩 中央大学, 商学部, 教授 (50548881)
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研究分担者 |
山田 哲弘 中央大学, 商学部, 准教授 (90707085)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 非倫理的向組織行動 / 目標設定 / 目標の難易度 / 目標コミットメント |
研究開始時の研究の概要 |
組織で働く人々の非倫理的行動については,自らの利益が動機となっていることが想定されてきたが,近年では,UPBのように組織の利益を動機としてしばしば起きることが指摘されている。本研究では,目標設定とその達成にむけた管理活動に焦点を当てることによって会計不正をはじめとするUPBがいかに生ずるのか,そのメカニズムを明らかにできるという学術的意義が期待される。加えて,マネジメントに関わる問題としてUPBを把握することによって,これまでは対応が非常に難しかったUPBに対して,その抑制のための方策を示すという実務的意義も期待される。
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研究実績の概要 |
本研究課題は,マネジメント・コントロールの一貫として行われる目標設定やその達成に向けた管理活動に着目し,それらがマネジャーの非倫理的向組織行動(unethical pro-organizational behavior; UPB)に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。UPBとは,上司の指示やジョブディスクリプションによるのではなく,従業員が自発的に行うもので,社会的には非倫理的とされる行動や不作為と定義される(Umphress et al., 2010 )。営業部門の管理職を対象とするウェブ調査により収集したデータの分析に基づき,目標がUPBに関与しようとする意思(Willingness to UPB; WUPB)に及ぼす影響について検討した。 その結果,第1に,目標の難易度とWUPBの間には逆U字の関係があることが確認された。これは,目標の難易度があがるにつれてWUPBが上昇するものの,一定以上の難易度を超えると目標を達成しようという意欲が低下し,目標達成の手段としてのWUPBも低下することを示唆している。 第2に,組織に対する負い目を感じている管理職において,目標に対するコミットメントとWUPBの間に逆U字の関係があることが確認された。これは,組織から課された目標の達成状況が芳しくなかったり,職責が十分に果たされていなかったりする管理職の場合,目標コミットメントが高くなるにつれてWUPBが上昇するものの,一定のコミットメントの水準を超えると目標が内部化されることでWUPBが低下することを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,論文執筆,学会報告を通じて研究成果の公表を行った。具体的には,目標の難易度とWUPBの関係については,国際的な査読つき学術誌への論文掲載が決定した。また,目標コミットメントとWUPBの関係については,国内学会において報告を行った。以上の点から,目標設定やその達成にむけた管理活動とUPBの関係についての検討は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの研究では目標の種類を同質的なものとするために営業職を対象とする調査から得られたデータに基づく分析を行ってきた。しかし,目標の種類が異なることによって,取り得る選択肢が変わることも指摘されており,同様の結果が確認されるとは限らない。そこで,調査対象を変えてデータを収集し,さらなる議論を行い,発見事項の頑健性を高めることを計画している。
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