今回の研究は、ある社会において監査がどの程度受容されるかどうかは、その社会における文化によって影響を受けるのではないかとの推定に基づいている。ただ、この推定は最近終了し、その研究成果が公表された「監査の世界史」研究に基づいている。わが国の場合には、監査の外郭は広く設定されていながら、その実効性に不安があり、監査が儀式化されているのではないかとの認識を、文化という視点から分析し、監査の実効性を高めるための方途を模索することを目的としている。いかなる文化的要因が、わが国における人々の監査意識に影響を与えているのであろうか。この研究の目的は、そのことを明らかにすることにある。
|