研究課題/領域番号 |
23K01694
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
草野 真樹 京都大学, 経済学研究科, 教授 (50351440)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 会計学 / オペレーティング・リース取引 / 認識対開示 / 経済的帰結 / ストック重視の会計 / 資本市場 / 情報リスク / 経営者の裁量 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,オペレーティング・リース取引(OL取引)のオンバランス化の経済的帰結を明らかにする。具体的には,国際会計基準を採用する企業を処置群,そして,日本基準を採用する企業を対照群とし,リース会計基準(IFRS第16号)の変更前後を比較する差分の差分(DID)法を用いて,①市場参加者の意思決定に及ぼす影響,②経営者の行動に及ぼす影響,③監査人の行動に及ぼす影響の3点について実証分析を行う。本研究は,OL取引のオンバランス化の経済的帰結について証拠を示し,国内外の会計基準設定に対して重要な示唆を提供することが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,注記で開示されていたオペレーティング・リース取引(OL取引)が財務諸表本体で認識されることによって,どのような経済的帰結をもたらすのかを分析し,貸借対照表を重視する会計モデルの特性を明らかにすることである。とりわけ,本研究は,国際会計基準を採用する企業を処置群,そして,日本基準を採用する企業を対照群とし,国際財務報告基準(IFRS)第16号『リース』適用前後を比較する差分の差分(DID)法を用いて,①市場参加者の意思決定に及ぼす影響,②経営者の行動に及ぼす影響,③監査人の行動に及ぼす影響について分析する。 令和5年度は,OL取引のオンバランス化が市場参加者の意思決定に及ぼす影響について,データ収集を行い,実証分析を行った。とりわけ,OL取引のオンバランス化が負債コストに与える影響について検証する。短期借入金の借入利息スプレッドを情報リスクの代理指標として,OL取引のオンバランス化によって,借入利息スプレッドに及ぼす影響について分析した。その結果,国際会計基準を採用する企業(認識企業)は,日本基準を採用する企業(開示企業)と比べ,IFRS第16号適用前後で比較したときに適用後に借入利息スプレッドが著しく低下した。さらに,OL取引の使用頻度が低い認識企業は,それが高い認識企業よりも借入利息スプレッドが著しく低下している。OL取引の使用頻度の高い企業は,会計基準の変更時にOL取引のオンバランス化を回避する裁量的行動をとるため,情報リスクの減少が小さいことを示唆する。これらの結果は,OL取引を財務諸表本体で認識することによって情報リスクが減少し,そのため,借入利息スプレッドが低下していることを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在のところ,オペレーティング・リース取引のオンバランス化が資本市場と企業行動に及ぼす影響についてデータ整理と実証分析を進め,研究成果の公表に向けて準備を進めていることから,「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,当初の研究計画に従って,オペレーティング・リース取引のオンバランス化の経済的帰結に関する実証研究を進め,貸借対照表を重視する会計モデルの特性を明らかにする。
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