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バリュー効果に関する実証分析:会計学視点からの検証

研究課題

研究課題/領域番号 23K01695
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分07100:会計学関連
研究機関大阪大学

研究代表者

村宮 克彦  大阪大学, 大学院経済学研究科, 教授 (50452488)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
キーワードバリュー効果 / 株式資本コスト / PBR / 資本コストや株価を意識した経営 / 会計原則
研究開始時の研究の概要

本研究は,株主資本の簿価に対して時価の安い高BE/ME銘柄(いわゆるバリュー株)ほど,将来の株式リターンが平均的に高いというバリュー効果を研究対象にする.バリュー効果は,専らファイナンス領域において研究が深められており,会計学的見地からの検証・考察が十分ではない.そこで,本研究は,会計学的見地を全面的に押し出し,現在のところほとんど注目されていない「一般原則を始めとする会計ルールとBE/ME,将来リターンとの関係」を解明し,バリュー効果に関する未解決問題の解決に資する実証的証拠を蓄積する.これを通じて,情報提供機能の面から会計ルールの役割を明らかにするのが本研究の目的である.

研究実績の概要

既存研究では,会計情報と株価との関係を繰り返し検証することで,財務会計の情報提供機能を確認してきた.一方で,会計数値の背後にある一般原則を始めとする会計ルールにまで立ち返り,会計ルールの存在やその内容が,情報提供機能を促進するのに役立っているのか,また,会計観の変容に伴うルールの新設・改廃が情報提供機能にどのような影響を与えたかまでを分析した研究はほとんど見当たらない.そこで,本研究は,株主資本の簿価と時価の乖離が株式市場で生み出す効果に相当するバリュー効果を検証対象とし,情報提供機能の面から会計ルールの役割を明らかにすることを目的とする.

研究開始初年度にあたる本年度は,東京証券取引所より2023年3月に「資本コストや株価を意識した経営」が公表されて以降,バリュー投資を行う際に意思決定の柱の一つとなるPBRが殊更注目を集めていることを背景に,当初の計画を一部変更し,ROE,株式資本コスト,そしてPBRの関係性を深く掘り下げる研究を中心に遂行した.特に注目したのは,ROEとPBRとの関係を描写したマジック8と呼ばれる現象である.本研究は,マジック8が個別銘柄レベルで観察されるか否か,そして,マジック8の存在がバリュー投資に及ぼす影響を分析したものである.具体的な内容については,「日本経済会計学会第四回秋季大会」にて成果報告を行った.

加えて,PBRの変動要因の一つとなる株式資本コストに関する研究も別途実施し,とりわけ情報リスクのプライシング効果の分析にも取り組んだ.当該研究についても「日本経営財務研究学会第47回全国大会」にて成果報告をするのに至った.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度に当たる本年度は,当初会計観の変容と会計情報の特性変化との因果関係を特定するという基礎研究を中心に遂行するはずであった.しかし,この一年間は,学術的にも実務的にもROE,株式資本コスト,そしてPBRが注目を集めていることを鑑み,当初の計画を変更し,その三者関係を探求する研究に傾倒することにした.当初の計画を変更したとは言え,学会において二件の研究成果報告を行えたのみならず,アナリストや機関投資家を対象としたミーティングにおいて複数回にわたって講演する機会にも恵まれ,実務家に対しても研究成果を還元することができた.以上を鑑み,「おおむね順調に進展している」と評価する.

今後の研究の推進方策

今後は,本年度に遂行した研究を引き続き精緻化すると共に,本研究課題の主目的を達成するため,以下の研究も併せて推進していく.

(1)バリュー効果の源泉要因分析 - 株主資本の簿価と時価の比率 (BE/ME)の分子に相当する株主資本は,一般原則の一つに掲げられる資本と利益の区別の原則を反映し,資本取引と損益取引が明瞭に区分されて表示される.この表示区分が,株式市場においてどのような経済的帰結をもたらすのかというのは,既存研究では俎上に載せられていない.本研究では,BE/ME全体を(a)資本取引に関連するBE/MEと(b)損益取引に関連するBE/MEとに分解して,それぞれが将来リターンとどのように関連するか,そして,もし両者で関わり方が異なるのであれば,それはなぜかを探求することによって,バリュー効果の源泉解明を通じて,資本と利益の区分の原則が株式市場で果たす役割を検討する.また,会計観の変容に伴って損益取引に関連するBE/MEの経済的意味がどのように変化したかを検証し,本研究課題の核心をなす学術的問いに対する回答も模索する.

(2)バリュー効果の消滅要因分析 - 株主資本の簿価と時価の相違こそ情報として意味があり,BE/MEを通じて会計情報は期待リターン(企業にとっての株式資本コスト)を決定づける資産価格モデルに貢献しているという主張がある.果たして,資産負債アプローチへの傾斜という会計観の変容に伴って会計情報がその特性を変化したことで,バリュー効果は減衰し,BE/MEは,投資家に対して資本コスト情報を提供しなくなっているのであろうか.この研究課題にも取り組むことで,科学的根拠に基づく政策評価に資する証拠を基準設定主体に提示する.

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 情報リスクのプライシング効果:リターン・ベースの情報リスク指標に基づく検証2023

    • 著者名/発表者名
      村宮克彦・竹原均
    • 学会等名
      日本経営財務研究学会第47回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] マジック8 - ROE8%超プレミアムの検証2023

    • 著者名/発表者名
      村宮克彦
    • 学会等名
      日本経済会計学会第四回秋季大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 村宮克彦 | 大阪大学大学院経済学研究科

    • URL

      http://www2.econ.osaka-u.ac.jp/~muramiya

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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