研究課題/領域番号 |
23K01707
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村上 裕太郎 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 准教授 (30434591)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 契約理論 / キャリア・コンサーン / 税負担削減行動 / 分析的会計研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「キャリア・コンサーンが強い経営者ほど税負担削減に積極的か」に関して数理モデルでそのメカニズムを明らかにし、その後データを用いて検証する。先行研究において、企業の税負担削減行動がその後の経営者のキャリアに影響を与えているという証拠が示されている。もし、経営者の税負担削減行動が自身のキャリアに影響を及ぼすならば、キャリアへの関心が強い経営者ほど積極的に税負担削減行動をおこなう可能性がある。本研究では、「どのような企業の経営者が、キャリア・コンサーンが強まると税負担削減行動に積極的あるいは消極的なるのか」を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
本研究では、経営者のキャリア・コンサーンに着目し、「キャリア・コンサーンが強い経営者ほど税負担削減に積極的か」について数理モデルでそのメカニズムを明らかにし、その後データを用いて実証的に検証する。経営者は自身のキャリアに対する関心(キャリア・コンサーン)から、自分の能力をアピールすべく働くインセンティブをもつことが知られている。一般的に、経営者の在職期間が短いほど、転職市場は経営者の能力についてわからない部分が多いため、キャリア・コンサーンは強まると考えられている。しかし、米国のデータを用いた実証研究によると、結果は混在している。本研究では、どのような企業の経営者が、キャリア・コンサーンが強まると税負担削減行動に積極的あるいは消極的になるのかを理論モデルから明らかにし、モデルから導かれた仮説についてデータを用いて実証的に検証することで、混在している実証結果を整合的に説明することを目標としている。
本研究で特に注目したいのは、どのような企業の経営者が、キャリア・コンサーンが強まると税負担削減行動に積極的あるいは消極的なるのかである。直観的に、キャリア・コンサーンの便益がコストを上回る企業においては税負担削減行動に積極的になるだろう。したがって、直面している法人税率(限界税率)が高い企業、成熟して生産性が低い(生産活動よりも税負担削減行動が魅力的な)企業、税負担を減らすレピュテーション・コストが低い企業(BtoB企業や中堅企業など)は、キャリア・コンサーンと税負担削減行動に正の関係があるかもしれない。逆に、法人税率が低い企業、生産性が高い企業、レピュテーション・コストが高い企業は、キャリア・コンサーンが強まるほど税負担削減行動に消極的になるかもしれない。
2023年度は、上記テーマに付随する関連研究成果をフィンランドで開催されたヨーロッパ会計学会で報告、書籍の1章を執筆した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、ヨーロッパ会計学会での学会報告を中心に、関連論文の海外学術誌への再投稿、書籍の出版とおおむね順調に研究活動を遂行することができた。特に、再投稿していたJournal of Accounting and Public Policy誌からは、条件付き採択の連絡を受け取った(正式な採択・出版は2024年度)。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、エージェントが階層別になっているプリンシパルーエージェント・モデルをJournal of Management Accounting Research誌に投稿する。さらに、キャリアコンサーンを明示的に取り扱った理論論文を執筆し、査読付き国際学会に投稿する予定である。
|