研究課題/領域番号 |
23K01709
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
谷守 正行 専修大学, 商学部, 教授 (90733824)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | デジタル・トランスフォーメーション(DX) / デジタライゼ-ション / 管理会計 / 原価計算 / AI(人工知能) / サブスクリプション / 銀行管理会計 / ABC / デジタル / AI / 将来志向型経営 |
研究開始時の研究の概要 |
最初に先行研究や実態調査を集中的に行い,デジタル化のための管理会計の要件を仮説的にモデル化したプロトタイプシステムを作成する(プロトタイプ開発)。 仮説モデルは,いくつかの実際の企業の経営や業務に適用し分析・評価する(アクションリサーチ)。 最終的には「デジタル化に適合する管理会計・原価計算の要件とそのための実現モデル」を研究成果としてまとめ,国内外の学会で発表する(考察・まとめ・公表)。 同時に実務家に対しても,書籍や特許の他さまざまな機会を利用して,研究成果を公開し活用を促進する(特許申請可否を判断)。
|
研究実績の概要 |
2023年度は,本研究目的に適合する5つの研究成果を学術論文にて発表した。それぞれの研究成果について,以下の通り具体的な内容,意義,重要性等を述べる。 まず,銀行ABC(活動基準原価計算)の実務上の課題が,AIを利用したデジタルトランスフォーメーション(AIを利用したDX:AI-DX)が解決しうることを検証した。 2つ目に,ビジネスに適用されたデジタル・サービスに適合する管理会計要件を整理したところ,これまで独自に進化し発展してきた銀行サービスにおける原価計算の適合性がかなり高いことを発見し,数理モデルにより理論的に検証した。 3点目に,最新のマーケティング技法であるサブスクリプション・サービスの管理会計研究を通して,DXによってマーケティングと業績評価の両方にハイブリッドで適用される管理会計機能となることを発見した。すなわち,マーケティングと管理会計を最適かつ密接に連携させるにはDXの果たす役割が大きいことが分かった。 さらに4点目として,管理会計の中心的な3分野(意思決定,予算管理,業績測定)は,AI-DXの適用により経営の適合性が増すことを研究成果から明らかにした。 最後に,5点目として国内外の著名なジャーナルからDXに関するものを先行研究し,さらにシンガポールのDBS銀行に赴きDXに関する実態調査研究を行うとともに,国内の地域金融機関においてデジタル・プラットフォームのアクション・リサーチを行うことにより,DXによる新たな管理会計の可能性として「ハイブリッド化」「埋め込み化」および「アクション化」の3点のインプリケーションを得ることができた。それは,今後の広範な研究と実務の発展の両面に十分に寄与しうるものと考える。少なくとも,これら管理会計DXの新たな可能性は,次年度以降の本研究にとっての重要な検証テーマであることは間違いない。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初計画通り,初年度は主に要件の見極めであるが,以下の通りおおむね順調に進捗している。 ・管理会計のDX要件の整理 ・デジタルサービスのための管理会計要件の整理 ・従来の管理会計の課題解決に資するDXの可能性と適用要件 以上の通り,要件概要までは明らかにできたものと考えている。現在は,管理会計DXの要件整理と,要件実現のための具体化を進捗させているところである。それら結果を基に,管理会計DXの実験機作成を開始する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降,明らかにされた管理会計DX要件の一部を実現する実験機の構築を開始する。さらに,次年度内後半では実証研究の一部にも取り掛かることを予定する。 今後の研究遂行にあたっての課題は,実験機構築の効率化である。管理会計DXの要件を十分に実験機で実現できるように,できるだけスムーズに管理会計DX実験機の構築フェーズに移行する必要がある。そこで,専門的技能を持つソフトウェア開発ベンダーや専用のDXツールの活用なども並行して検討する。 また,管理会計DXの開発手法としてアジャイル開発を採用する。さらに,一部開発の段階でAIの技術を活用した自動化,エラー予測,コード補完などのアプローチを活用することで,実験機開発の効率を向上させる。 次年度の対応を予定通りこなすことで,最終的なゴールである「デジタル時代に最適な『誰もが使えるスマートな管理会計』を発案し提案すること」を目指す。
|