研究課題/領域番号 |
23K01735
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
中江 桂子 明治大学, 文学部, 専任教授 (80292655)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 文化的多様性 / 民藝 / 社会関係資本 / 産業社会のオルタナティブ |
研究開始時の研究の概要 |
民藝思想および運動の特徴は、①各地の手仕事の多様性を発見し、産業のヘゲモニーに対抗する思想的基盤であったこと、②労働の利益ではなく、「意味の生産」に仕事の価値を見いだしたこと、③思想にとどまらず、地域固有の文化と歴史の痕跡を守る実践でもあったこと、の3点にある。そしてこれらは産業社会の根本問題に触れたため、近代を甘受しつつ文化の多様性や共存を希求する人々により国際的に伝播した。本研究では、a.民藝の多様性への希求はどのような社会関係資本を通じて実践されたか、b.意味の生産に注目する仕事への姿勢が、生活者に与えたな気付きと生活文化とは何か、c.民藝思想の国際的理解とその評価について考察する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、第一の実績として、民藝の国際的展開にかんする調査研究を、主にスペイン(バルセロナ)および北欧(ヘルシンキ・オスロ)について現地に出張しておこなった。民藝の影響をうけ、独自の展開をしている地域として、これらの地域が重要な位置にあったからである。柳宗悦は民藝同人とともに、ヨーロッパを視察旅行しているが、北欧の民俗文化に生きる手仕事にインスピレーションを得て、「ミンゲイ」の発想にいたる。また、柳に直接影響を受けた芸術家が根付き、地域芸術のその後を構築した場所がバルセロナであった。柳の足跡をたどりながら、民藝からの継承やその後の展開についての資料収集をおこなった。また、バルセロナにおいては、バルセロナ自治大学の研究者とも交流をして、日本では手に入らない資料について知見をいただいた。また、柳の欧州の旅のなかで彼自身が感銘を受けたと記述している、イタリアのなかでもアッシジの街を訪問することができた。アッシジには資料類は多くは無かったが、農村のなかに息づく焼き物や織物などは今も存在していた。とはいえ、伝統工芸の保存継承はイタリアにおいても厳しい現状についてインタビューができた。 第二の実績として、地域文化を支える民藝をめぐる社会関係資本について、富山や松本を事例とした調査をおこなうことができた。社会関係資本のコアになる人物についての資料を収集したこと、さらに、民藝だけが地域に育ったわけではなく、民藝を含み民藝を超えた地域文化にも多様な関係を持っていたからこそ、民藝運動が継続できたことも、次第にあきらかになったことであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
民藝の国際的展開について、スペインと北欧については現地調査ができたが、アメリカやイギリスについては、現地調査が叶わなかった。コロナ罹患で現地の研究者との面会予定が延期になり、その後の予定がうまく合わずに、2023年度に実施することができなかった。当初は、国際展開にかんする基礎資料の収集は2023年度内に終わらせたかったが、2年目にずれ込むことにならざるを得なかった。この点のみ、申請時の予定から遅れているが、その他は、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度にうまく進められなかったイギリスとアメリカの調査を、急ぎ進めたいと考えている。そのうえで、2024年度の計画を順調に進めたい。 柳の民藝運動から地域文化の覚醒へと人々の意識が育成されていく過程を、社会関係資本という観点から、具体的に記述すること。さらに、利益を生むことよりも意味を生むことに、働くことの価値を発見していく民藝運動のありかたについて記述すること。この2点について、国内の民藝運動の主要地域について、かつ、海外の地域文化と手仕事の伝統がある地域について、考察ができるように進めていきたいと考えている。
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