研究課題/領域番号 |
23K01739
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大阪商業大学 |
研究代表者 |
宍戸 邦章 大阪商業大学, 公共学部, 教授 (10460784)
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研究分担者 |
吉野 智美 大阪商業大学, JGSS研究センター, 研究員 (00806599)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2026年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 高齢者 / フレイル予防 / サードプレイス / 通いの場 / 社会参加 / アフターコロナ / まちづくり / 集い場 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、地域コミュニティに創出される集いの場(サードプレイス)が高齢者の心身の健康に与える影響の効果を検証し、サードプレイスの醸成に寄与する「仕組み」を検討する。本研究の学術的問いは次の2点である。 ①どのような特徴をもつサードプレイスが、高齢者のフレイル予防に効果があるのか。 ②高齢男性の通いの場への参加を促進する仕組みとはどのようなものか。 本研究では、東大阪市を対象として、パネル調査を実施する。通いの場非参加群と参加群にグループを分け、年1回の調査を3年間継続する。参加群は活動のタイプによってグループ分けを行う。これらのグループ間で身体的・心理的・社会的フレイルの状態の推移を観測する。
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研究実績の概要 |
COVID-19の感染拡大は、長引く自粛生活により、高齢者のフレイルの増加や社会的孤立を助長させている。「2025年問題」が到来しつつある現在、高齢者のフレイルや社会的孤立の予防は世界一の超高齢社会である日本において最も重要な社会課題の一つである。一人ひとりが社会のメンバーとして「居場所と出番」をもって社会に参加し、人生の晩年にあっても、それぞれの持つ潜在的な能力を発揮できる環境整備を進めることが喫緊の課題である。 本研究では、家庭でも学校でも企業でもない、地域コミュニティに創出される通いの場・集いの場(サードプレイス)が高齢者の心身の健康に与える影響の効果を検証し、サードプレイスの醸成に寄与する「仕組み」づくりを検討する。 本研究では、東大阪市を対象として、パネル調査を実施する。通いの場非参加群と参加群にグループを分け、年1回の調査を3年間継続する(図3)。参加群は「拠点型」の類型として体操教室を行っている通いの場(タイプA)と茶話会型の通いの場(タイプB)を抽出する。また、「活動型」の類型としてボランティア団体や趣味の団体の活動(タイプC)を抽出する。非参加群を含む4つのグループ間で身体的・心理的・社会的フレイルの状態の推移に統計的に有意な差が生じるのかを検証する。参加群のうち通いの場への参加を中断した高齢男性については、半構造化インタビューの依頼を行う。本研究は、体力測定を含む社会調査であるため会場での集合調査となる。サンプルサイズは、それぞれのグループで200人を目標とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進める上での課題は、2種目の体力測定と高齢者の健康度やライフスタイルを尋ねる社会調査を組み合わせて行うことであるが、複数の体操教室、集い場・通いの場の協力を得ることができ、市内で3カ所の地域包括支援センターの協力を得ることができた。また、フレイル予防講座を年に5回程度開催し、体操教室や通いの場、および地域包括支援センターの事業に参加していない高齢者に対してもアプローチすることができた。普段引き籠りがちな高齢者に対しては、市内の病院(外科・内科クリニック)の協力も得ることができた。これらの協力体制の構築により、2023年度は約700名のデータを収集することができた。 現在は、収集したデータの解析を進め、協力してくれた高齢者に現在の健康度や転倒リスクを分かりやすく簡潔に伝えるシートの開発に着手している。 通いの場や集い場が抱える共通の課題を議論するために、2023年度には2回大阪商業大学にて通いの場・集いの場主催者約70名による意見交換会を開催した。この会は地域内のメディア(ケーブルテレビ)に報道された。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては、体力測定と社会調査を組み合わせたデータ収集を円滑に行っていくことである。地域内での協力者である理学療法士や社会福祉士、体操教室、茶話会、地域包括支援センター、病院と連絡・調整しながらデータを収集し続ける。健康度の結果票シートを協力者個々人に返却する都合から、調査対象者の個人情報(氏名や住所など)を収集している。また体力測定では転倒等の危険性もゼロではないため所属する研究機関から研究倫理上の問題はないか審査を受け、本人の同意のとり方やデータの管理に問題が生じないように万全の体制を構築しながら残りの研究期間内で研究が終えられるように尽力する。 通いの場・集いの場から離脱する高齢男性への半構造化インタビューについては、研究期間の2~3年目に実施する予定である。また、他地域の通いの場・集いの場の視察についても研究期間の2~3年目に実施したいと考えている。
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