研究課題/領域番号 |
23K01756
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 跡見学園女子大学 |
研究代表者 |
松井 理恵 跡見学園女子大学, 観光コミュニティ学部, 准教授 (50830676)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 植民地建築物 / 韓国 / ポストコロニアリズム / 観光資源化 / 地域コミュニティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は韓国に現存する植民地建築物、特に日本式家屋を取り上げ、植民地建築物が観光資源となる条件を運営主体に着目して明らかにする。調査においては植民地主義を体現する植民地建築物が観光資源となる過程、すなわち観光資源化に焦点を当てる。本研究は、「植民地支配の歴史」と「観光」を切り分けて考えるのではなく、この観光資源化を葛藤や協働をともなう一つの過程として捉える。日本式家屋を観光資源とする6つの都市(①仁川 ②群山 ③木浦 ④大邱 ⑤浦項 ⑥釜山)で調査を実施し、運営主体別の類型化や類型別の傾向を示し、植民地建築物の観光資源化における課題を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、韓国に残された植民地建築物の中でも日本式家屋を対象とし、特に運営主体に着目して植民地建築物が観光資源となる条件を明らかにすることを目的とする。本研究のポイントは、朝鮮半島に日本人植民者が建てた植民地建築物が近年の韓国において観光資源になる過程を、ポストコロニアリズムと観光資源化の接点という視角から捉え返すところにある。 初年度である2023年度は、大邱の市民運動団体が主体となって進めた日本式家屋のリノベーションに関する著書『大邱の敵産家屋:地域コミュニティと市民運動』を共和国から刊行した。また、ハーゲン・クー著『特権と不安:グローバル資本主義と韓国の中間階層』を翻訳し、岩波書店から出版した。『特権と不安』は韓国社会を社会学的に分析した良書であり、本研究の背景となる韓国社会の文脈を明らかにする著作としても位置づけられる。まとめるならば、本研究の調査地域の一つであり、調査を先行して進めてきた大邱に関する研究を書籍にまとめ、韓国社会に関する翻訳を通じて本研究の土台を固める作業を進めたといえる。 韓国の現地調査は、調査予定の6都市中2都市で実施した。この他に、日本国内に保管されている植民地朝鮮関連資料の収集を進め、現地調査結果と突き合わせて分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は出版プロジェクトが複数重なった状況で進行したことに加え、調査を進めていくうちに日本国内の資料収集の必要性が明らかになったため、当初予定していた韓国の現地調査を計画通りに進めることができなかった。しかしながら、出版や資料収集は本研究を進めるうえで基礎となるものであり、韓国の現地調査も大邱と仁川の2都市では実施できたため、おおむね順調に進展していると評価するのが妥当である。
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今後の研究の推進方策 |
国内での資料収集を進めつつ、初年度には計画通り進められなかった韓国の現地調査を進め、植民地建築物の観光資源化に関するデータの収集を都市別に積み重ね、比較の観点から本研究の知見を導き出す準備を整えていく予定である。また、これまでは東アジアを前提として研究を進めてきたが、東アジア以外の文脈においても本研究の位置づけを検討するために、欧米圏の研究者との交流も構想している。
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