研究課題/領域番号 |
23K01771
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山中 浩司 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40230510)
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研究分担者 |
野島 那津子 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (00788614)
樋口 麻里 北海道大学, 文学研究院, 准教授 (80755851)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 病の地位 / 病人役割 / スティグマ / 社会的距離 / 希少疾患 / 論争のある病 / 精神疾患 / 病の社会的地位 / 境界性 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疾患の三つの社会的グループ(希少疾患、精神疾患、論争のある病)における「病」の社会的地位の生成、それらの階層性、また医学知識や治療との相互作用の3点について、当事者への聴き取り調査データをもとに比較研究を行う。現在想定している着目点は病の社会的正当性、認知、可視性、境界性の4点である。これらの研究を元に新たに「病の社会学」を構想し、著作の公刊を目指したい。
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研究実績の概要 |
2023年度は、さまざまな理論的枠組を検討するため、「病人役割」「道徳的評価」「社会的距離」「スティグマ」「有害な社会環境」「有害な社会性」「認知磁気効果」などの概念の使用法について検討、9月20日に検討会議をもち、3タイプの疾患群について前述の概念の適用可能性を検討した。各疾患群について、研究分担者においてデータとの整合性を検証し、3月23日の会議において、特に「病人役割」の承認を阻害する社会環境について「有害な社会性」「認知磁気効果」などの概念が適用可能かどうかを検証した。検証の成果は、2024年5月の関西社会学会大会で報告の予定である。これに先立ち、2023年7月に、希少疾患患者の制度的な位置づけに関連して以下の報告を行った。Yamanaka,H. & Nojima, N. National Health System in Japan and the Experiences of People with Rare Disease, ISA XX World Congress of Sociology, Melbourne Australia, June 25-July 1, 2023.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度については、病の社会的地位を考える上で活用可能な医療社会学上の概念を、研究者が利用できる質的データとすり合わせながら、絞り込みを行っている。当初の計画よりも多くの概念が候補に挙がり、それぞれの含意とデータとの整合性を検討するための作業に多くの時間を費やしている状況である。検討が必要な概念は、以下の通り。1)病の地位sick status、2)病人役割sick role、3)医療化medicalization、4)道徳化moralization、5)社会的距離social distance、6)スティグマstigma、7)有害な社会環境toxic social environment、8)有害な社会性toxic sociality、9)認知磁気効果perceptual magnetic effect、10)診断の効果diagnostic effect。また、地位と役割の相互作用についての理論的整理も必要であり、初年度内にすべての問題について整理することは困難であった。このため、引き続き理論的な整合性とデータとのすり合わせを継続する必要があると考える。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況で記載した通り、当初の計画よりも多くの概念や問題を検討する必要が生じたため、次年度では、まずは理論的な整合性について検討を進めながら、同時にデータとのすり合わせを並行するものとする。その際、研究者がよく知っている希少疾患、論争のある病、精神疾患だけでなく、感染症、がんなどの重篤な疾患、糖尿病などの慢性疾患などの患者が経験する社会的困難についても、他の研究者の成果を援用しながら随時活用するものとする。年度前半に理論的な見通しを、年度後半にはデータとの整合性から、病の地位と役割の関係について、一定の仮説を構成したい。
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