研究課題/領域番号 |
23K01773
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
徐 阿貴 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (90447566)
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研究分担者 |
金 貴粉 津田塾大学, 国際関係研究所, 研究員 (20648711)
林 葉子 名古屋大学, ジェンダーダイバーシティセンター, 教授 (60613982)
長谷川 和美 名古屋学院大学, 外国語学部, 講師 (90826562)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ジェンダー / インターセクショナリティ / 帝国的資本主義 / 植民地 / 生政治 / 閉鎖空間 / 周辺化された人々 / 連帯 / 労働 / 性政治 / 民族 |
研究開始時の研究の概要 |
帝国勢力の拡大とともに、炭鉱、集治監、遊郭/料理店、ハンセン病療養所が集積していった九州・沖縄および旧植民地を調査対象とし、歴史社会学の手法により労務管理マニュアル、機関誌、学術雑誌、新聞記事等の史料や証言内容を検討する。労働力としての「身体」に対する多様な関心を示す言説と管理のテクノロジー開発における、特定のジェンダーや人種民族、階級、セクシュアリティ規範の発動とそれらの相関力学を分析する。本研究は、ジェンダー、人種民族、階級などにより規定される社会集団や集合的アイデンティティを所与とせず、労働過程においてそれらが相互連関し構築される点を重視するインターセクショナル政治経済学を枠組みとする。
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研究実績の概要 |
本研究は、近代日本における資本主義的労働再編について、帝国内で周辺化された人々―朝鮮人、囚人、娼婦、ハンセン病患者・回復者―に焦点をあて、九州地方を中心に、インターセクショナリティの視角から検討する。具体的には、炭鉱、集治監、遊郭、ハンセン病療養所という閉鎖的な空間における労働と生活経験の分析(課題1)、4事例にみる動員と労働過程の相互連関の検討(課題2)から構成される。初年度は、本研究着想の元となった、帝国下の炭鉱における囚人および朝鮮人労働の研究に、娼婦、ハンセン病患者・回復者の事例を接合する分析視角として、インターセクショナリティをどのように適用するか議論を重ねた。 前半は、AAS-in-Asia会議でパネルセッションを組み、別々の空間における拘束的な労働と生活経験にみる複数のカテゴリーの交差を提示しつつ、これらに関わる権力構造を前景化させた。後半は、共同フィールドワークを国立療養所菊池恵楓園にて実施した。施設・歴史資料館見学、当事者運動関係者の訪問を行い、施設の境界管理、諸規制の下で営まれてきたさまざまなコミュニケーションや表現活動そして連帯、尊厳回復プロセスを、民族/国籍、ジェンダー、階級が複雑に交差する状況として、体験的に把握することができた。また基盤研究(C)「帝国の人身売買問題と廃娼派キリスト教徒のグローバルなネットワーク」(研究代表者:林葉子)と共催で、公開合評会「宋連玉著『植民地「公娼制」に帝国の性政治をみる-釜山から上海まで』を読む」を開催し、公娼制と軍隊の結びつきにみる性=生政治を、日本(林葉子)、朝鮮半島(朴貞愛)、中国(ハオ・シャオヤン)の文脈から討議した。会議で共有された、内地/外地を含む帝国圏とグローバル政治空間、「戦時」をWWIIに限定せず19世紀後半以降の軍事拡大から捉える視角は、本研究における帝国的時空間の概念化に有益であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同年度に終了した科研研究を発展させる形で、共同発表やフィールド調査を計画通りに実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究における分析視角であるインターセクショナリティの精緻化のため、専門家を招聘し研究会を開催する。 これまでの研究会や国際会議、共同フィールド調査では、地域の専門家組織(医師会など)、政治団体、行政に関わる動向をもとに、分野を超えた人的つながり、協力体制の様態を掘り起こすという方向性が提起された。これをもとに、史料および聞き取り調査を行っていく。共同フィールドワークを企画し、成果発表の場となる学術会議を具体化すべく、準備を行っていく。
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