研究課題/領域番号 |
23K01776
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
平野 寛弥 上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (20438112)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 関係的自律 / エージェンシー / エンハンスメント / シティズンシップ / 行動変容 / パターナリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,次の三つの学術的「問い」について明らかにしようとするものである.一点目の問いは「行動変容やエンハンスメントが人々にもたらす可能性や課題とはなにか?」というものである.二点目の問いは「関係的自律の観点から見て正当化可能な行動変容やエンハンスメントの基準とはどのようなものか?」というものである.そしてこれら二点の問いに対する答えを模索することを通じて明らかにしたい第三の問いは「行動変容やエンハンスメントは,これからの人々のシティズンシップをどのように変えるのか?」というものである.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,近年急速に導入・実装が進む人々の行動変容を促す手法や人々の認知機能や身体機能を補完する技術(エンハンスメント)の実効性とその使用に関する倫理的・技術的・政策的課題を検討することを通じ,こうした技術革新が人々のシティズンシップやエージェンシー(主体性)にもたらす可能性と課題について,関係的自律の観点から捉え直し,近代的な主体像や自律観を再考することにある.以上の作業を通じて,行動変容やエンハンスメントが日常的に行われている現代社会における政府の役割,必要な対策や規制を検討しつつ,他方では行動変容やエンハンスメントを目的とした介入が人々に与える影響を検討し,個人主義的な「自律的主体」像を前提としてきた従来のシティズンシップ論の再構成を図ることを企図している. 以上を鑑み,研究初年度となる2023年度は理論的研究を中心に行った. 具体的には,哲学,教育学,心理学,社会学,障害学などの広範な研究領域にまたがって展開されている個人の自律やエージェンシーについての先行研究および,近年の科学技術の発達を受けて急速に議論が進みつつあるエンハンスメントやポスト・ヒューマニズムに関する先行研究を検討し,関係的自律の構想と呼ばれる見解が,個人の自律をエンハンスメントすることを可能にする社会環境の成立という現代社会における主体と環境の相互浸透的な関係性をとらえるうえで有用であるとの示唆を得た. あわせて,関係的自律の構想に対する懸念として指摘されてきた個人のエージェンシーへの制約や阻害,さらには個人の自律の侵害についても,外部からの介入が許容されるための条件を検討した. これらを論文2本にまとめて国内外の学会誌に投稿し,一つは掲載決定済みであり,もう一つは現在査読過程にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において当初設定した三つの研究課題のうち,第一の課題,すなわち個人の合理性やエージェンシー,それらを行使して実現される自律に関連して生じる想定される課題を検討することについては,本研究課題の初年度である2023年度に理論的研究として実施し,多くの知見を得ることができた. 具体的には,先行研究の検討から関係的自律の構想に根ざした個人のエージェンシーのあり方やそれが実現するための条件を探るとともに,AI(人工知能)の発達や身体改変技術の普及など,自律を促進しうる社会環境(エンハンスメント環境)の出現がもたらす諸問題について検討し,その成果を2つの論文としてまとめて投稿した.そのうちの一つは掲載決定済み,もう一つは査読中の段階にある. 以上の進捗状況から,本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今後,当面は国外での調査を断続的に行い,収集したデータの整理と分析を行う.具体的には,イギリスを含む2,3カ国において,一般市民,政策関係者(行政窓口の担当職員,政策立案者,政府系シンクタンクのアナリスト)および研究者を対象に,行動変容の手法についてインタビュー調査を行う.また,エンハンスメント技術を用いた商品やサービスの事例についての情報を収集するため,企業の開発担当者にインタビュー調査を行う予定である. 目下の課題は,調査協力者の確保と,昨今の円安による海外での調査にかかる費用の高騰である.とりわけ後者については,本研究課題採択時点の予想をはるかに超えるペースで円安が進んだ関係で,海外調査に要する費用が不足することが懸念されるため,滞在期間の短縮や遠隔でのインタビューの実施など,経費節約に努めながら研究の促進を図りたい.
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