研究課題/領域番号 |
23K01780
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
西倉 実季 東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 教授 (20573611)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 美的労働 / サービス・エンカウンター / 接客サービス / ルッキズム / 外見管理 / 質的社会調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、現代日本の接客サービス業をフィールドに、顧客との相互行為過程において美的労働(aesthetic labour)従事者が自身の外見をどのように管理し表出しているのか、その具体的様相を明らかにすることである。研究方法は、小売業とホスピタリティ業において接客サービス労働に従事する者を対象とするインタビュー調査である。従来の美的労働研究は、企業-従業員の2極関係を設定してきたが、美的労働は顧客こそが労働対象であるため、顧客を加えた3極関係の中で各アクターがどのように行動し、他のアクターからどのような影響を受けるのかを検討することに本研究の特色がある。
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研究実績の概要 |
小売業とホスピタリティ業に従事する美的労働従事者の外見管理に関するインタビュー調査のための準備作業として、「サービス・エンカウンター」の概念とそれが出現した社会経済的背景への理解を確かなものとするための文献研究に取り組んだ。具体的には、モノを生産する労働との対比において接客サービス労働の定義を試みたLeidner(1991; 1993; 1996; 1999; 2002)、現代社会における接客サービス労働の特徴を包括的に論じたKorczynski(2002; 2007; 2009)、接客労働過程における管理者-労働者-顧客の3極関係を考察した鈴木(2010; 2012)などをもとに、接客サービス労働の特徴と類型、サービス産業の歴史的変遷と今日的諸相に関する概観的・理論的研究の整理・検討を実施した。 これらの文献研究の成果をふまえて、サービス・エンカウンターにおける従業員の外見管理の様相を明らかにするためのインタビュー調査を企画・設計した。インタビュー調査の対象は、Leidner(1993)による接客サービス労働の3類型に従い、①接客サービスが取引対象と分離できるが、その引き渡しに際して重要な部分をなすケース、②接客サービスが取引対象と分離できるが、顧客によるサービス体験が取引対象の質を決定するほどの重要性を持つケース、③接客サービスが取引対象と分離できず、取引対象が接客サービス労働と癒着しているケースに分類した。これら3つのケースの美的労働従事者が、顧客との相互行為過程のなかでどのような美的アピールを意図しており、所属する企業組織の服装規程や研修等をサービス・エンカウンターを通じてどのように具現化しているのかを検討するという課題を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、2023年度の後半にインタビュー調査の依頼を開始する予定であった。しかし、接客サービス労働に関する理論的研究の整理・検討をふまえ、インタビュー調査の対象を設定する作業に予定よりも時間を要したため、具体的な調査依頼にまで進捗させることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の文献研究の成果をふまえ、現代日本の接客サービス業をフィールドに、顧客との相互行為過程において美的労働従事者が自身の外見をどのように管理し表出しているのか、その具体的様相を明らかにするためのインタビュー調査の準備を進める。具体的には、高級ブランド品の販売員、フライトアテンダント、テーマパークのパフォーマーを対象とするインタビュー調査を実施したいと考えている。調査での着眼点としては、管理者-労働者-顧客の3極関係における従業員の外見表出、顧客の反応の観察・モニタリング、企業組織の服装規程や研修などの具現化などが挙げられる。
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