研究課題/領域番号 |
23K01805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
崎山 治男 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (20361553)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 感情労働 / 感情資本 / 心理主義化 / 労働の二極化 |
研究開始時の研究の概要 |
コロナ禍は多くの労働をリモートワークやICT化、AIによる代替へと急速に進めつつある。それは労働の変化を加速させ、単純な対面事務をAIやリモートに置き換え、より高度な企画立案・交渉のみを企業の中枢部が対面で行ったり、きめ細かい接客を提供したりする形へと社会を変えつつある。 本研究はこの視座に立ち、コロナ禍の現在・将来にわたって労働の何がICTやAIで代替され、陳腐な感情労働として提供されるのか、そして何がICTやAIによって代替されない対面で行われるべき高度な感情マネジメントが求められるのかを問う。その上で、現在・将来の労働の変化を、感情労働の視点から労働の二極化の進行として考察する。
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研究実績の概要 |
本研究はグローバル化とICT化、そしてコロナ禍という現代社会の中で、労働とその金銭的・心理的報酬が二極化されていくプロセスの分析を目指す。一方では単純な感情労働がアウトソーシングされたりマニュアル化されたりする中で、報酬ややりがいの低下がある。そればかりかAIにより労働そのものがヒトから代替される。他方で、中枢での企画立案・高度な感情労働による職務へのやりがいや報酬の獲得があり、そこでの自己実現に向けたスキルの獲得が煽られる。その実態を明らかにする中で感情労働という視角からの労働の二極化と高度なコミュニケーション・スキルへの煽りを分析し、現代社会でヒトが「労働」に動員される社会形成のありさまを明らかにすることを質的調査を元にして明らかにすることを目的としている。 本年度はそれに向け、コールセンター業務と旅行業の中枢部に携わる労働者10名ずつに、質的な調査を試みた。そこで浮かび上がってくる像は、感情労働がもたらす精神的な困難に耐えつつも、感情のやりくりを上手くしている技法であった。また同時に、やりがいや報酬という点では、顧客からの好意的応答が主であり、差はあまり見られなかった。だが、他方では顧客や同僚とのやりとりの中で、中枢部にいる人々の方がやりがいを得ていることが確認された。 感情労働の自己への成果については、肯定論と否定論の双方がある。前者は顧客とのやりとりでの楽しさを主とし、後者は感情の抑圧を主とする。この点についても理論的な整理を試み、調査データとの接合を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質的調査に協力して頂ける企業が難航したことと、23年度の11月~2月に腰のヘルニアを患ったため、調査が計画より進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
質的な調査を継続することにより、単純な感情労働と複雑なそれとの特徴をさらに精査する。まだ同時に、それをもたらす要因として感情労働論のさらなる精緻化、並びに感情労働をする能力としての「感情資本」の理論構築を目指す。
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