研究課題/領域番号 |
23K01806
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金 友子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (20516421)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | マイクロアグレッション / 差別 / 排除 / マイノリティ / レイシズム / 在日朝鮮人 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はマイクロアグレッション概念に着目することで、現代的差別(論)が共有する難問――差別問題の伝わらなさと線引き問題――に答えようとする。日本の民族的マイノリティである在日朝鮮人に着目して事例を収集・検討することで、何が特定の言動をマイクロアグレッションにするのかを明確化する。さらに、その日本に特有なあり方を可視化する。これらをとおして、最終的に、この概念は社会に対して何を訴える概念であるのか、すなわち、マイクロアグレッションとはいかなる問題であるのか、を明らかにする。
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研究実績の概要 |
在日朝鮮人研究者・活動家を対象にインタビュー調査を実施し、後のインタビュー調査の原型を作るとしていた。3件のインタビューを行ない、以下のような成果を得た。1)差別や排除に比較的敏感な人びとのマイクロアグレッションの体験を収集した。2)それらの人びとは自分が直接の受けてとして経験する差別的事象のみならず、他の人びとに向けられる差別的な言動に対しても敏感にキャッチしていた、3)2年目以降に実施するインタビュー内容の原型を作ることができた。 理論研究として、マイクロアグレッションと近似・類似概念とをマッピングを行なった。今年度はアンコンシャスバイアスとハラスメントに注目し、これら二つの概念・事象との比較におけるマイクロアグレッションの特性を明らかにした。日本社会での差別を対象にした議論を整理し、マイクロアグレッションの位置づけを確定する作業は、あまり進めることができなかった。 その他、マイクロアグレッションについて7件の講演を行ない、内数件の講演で主催団体の協力を得て聴衆を対象にアンケートを実施した。聴衆はマイクロアグレッションに対して関心の高い層であるので一般化することは難しいが、身の回りで生じる「小さな」言動のうち人を傷つけるすべてのことがマイクロアグレッションとして捉えられがちである現状を把握することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
在日朝鮮人研究者・活動家を対象にインタビュー調査の件数が、予定していたよりも少なかった。今後実施するインタビュー内容の原型は一定程度作ることができたが、もう少し精査する必要がある。 差別に関する日本社会での議論を整理する作業を進めることができなかった。次年度以降、文献収集とともに、整理の軸を定めて着手していく。
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今後の研究の推進方策 |
上半期中にあと数件の在日朝鮮人研究者・活動家を対象としたインタビュー調査を実施し、インタビュー内容・方法を確定する。下半期から一般の在日朝鮮人を対象にインタビュー調査を実施する。 理論研究は、引き続き類似概念と関係づけつつ「差別」の議論のなかにマイクロアグレッションを位置付ける。日本国内の差別に関する議論の整理も、この作業に組み込んで行う。マイクロアグレッションの判定問題(どう判定するか、なぜ判定が必要か、どんな時に必要か)を検討し、判定基準を明確化することを試みる。
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