研究課題/領域番号 |
23K01826
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
木村 真理子 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (00266462)
|
研究分担者 |
森 恭子 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (10331547)
大橋 雅啓 東日本国際大学, 健康福祉学部, 教授 (50871258)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
|
キーワード | 多文化ソーシャルワーク / 移住とメンタルヘルス / 多文化精神医学 / 移住者のメンタルヘルス / 精神保健福祉士 / アクションリサーチ / コンピテンシー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は3年計画ですすめる:多文化をもつ人々の支援のモデルとシステム構築、モデルを用いて働く精神保健福祉士の訓練の具体的方途をアクションリサーチから探ることを意図している。1年目:研究者と精神保健福祉士からなるチームで先行研究をもとに情報共有し、多文化メンタルヘルスソーシャルワーク研修モデルを構築する。2年目:研究チームに協力者の精神保健福祉士を加えて多文化メンタルヘルスソーシャルワークの研修試行モデルを考案、精神保健福祉士の地域グループに協力を依頼、モデル実践への参加者を募って試行する。3年目:多文化メンタルヘルスソーシャルワーク研修を実施しモデルを試し評価を行い、簡易テキストを試作する。
|
研究実績の概要 |
2023年度の研究実績として、11月25日(土)に人材育成を目的として開催した研修会がある。神奈川県の精神保健福祉士協会の協力を得て、神奈川県、および関東近郊で働く精神保健福祉士および社会福祉士らを対象に参加者を募り、開催した。 研修内容は、I.講義1.精神保健福祉士による「移住者とメンタルヘルス」~多文化ソーシャルワークの必要性~を諸外国の多文化を有する人々を支援してきた研究実績の基盤をもとに、日本の状況に当てはめてその必要性と研修の内容、および政策的課題に触れた。次に、2.精神科医による「異文化に生じる精神疾患の理解と対応」として、事例を含め、こうした事態に対応する精神保健福祉士をはじめとするソーシャルワーカーに必要とされる支援技術や地域基盤の整備について学んだ。さらに、3.日本で国際ソーシャルワークのサービスを展開している機関の代表により、「メンタルヘルス領域の多雨bンかソーシャルワーク実践」の講義を通して、日本の変容する社会の中での多文化人口の増加、コミュニティの変化、および求められるソーシャルワーカーのスキルの開発について学んだ。 講義の後、II.事例検討とロールプレイを通じて、事例を演じることを通じて、移住者の精神保健を疑似体験し、ソーシャルワーカーに求められるスキルと生じうる状況、必要とされる支援環境の整備に向けた社会基盤の整備、政策提言についてディスカッションを行った。 以上の研修は30名以下の小規模の研修であったが、参加者の活動場所の多様性を含め、日本社会において、移住者の地域支援特に精神保健分野に特化したソーシャルワーカーの理解と支援スキルの充実の必要性を参加者に定着させる成果は、参加者による評価として収集された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究目標としての「移住者のメンタルヘルスとソーシャルワーク」に関する研修の実施と参加者の事例検討、ロールプレイ、それに続くディスカッションを通じて、ソーシャルワーカーたちが求める研修に対するニーズの把握はなされた。その意味で、2023年度の研究の進捗状況はおおむね順調に進展していると評価される。 今後の研究は、日本の状況を諸外国の「移住とメンタルヘルス、必要な支援や政策動向」を踏まえて、今後日本で必要とされる政策、専門職(特にソーシャルワーカー)の研修の課題、専門職が機能しうる基盤をいかに作るかについて、実際に多文化対応ソーシャルワークを行っている人々の声を集め、政策提言を行うという点に集中させてゆくことが必要とされる。それは、日本のコミュニティでは、外国人人口の増加に伴い、地方自治台は支援ネットワークの整備には着手している。法務省関連の外国人支援コーディネーター研修にも着手することとされている。 十分に対応しているかが問われるのは、多文化対応、移住に伴う精神保健の課題に対する支援や対応基盤の整備にはいまだ対応の準備がされているかという疑問が残るからである。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度は、移住先進国の一つであるカナダを研究データ収集先として選択し、現地調査を行う。特に、世界各地からの移住者コミュニティであるトロントをリサーチのサイトとして、文献、サービス機関、国の移住者政策、専門職の訓練などの多方面から情報収集を行う。 現地の研究協力機関として、カナダ精神保健協会(CMHA)を予定しており、移住者・難民のメンタルヘルスに対応する地域の支援、地域の医療機関、コミュニティサービスとの連携、カナダの移住者政策の特徴と課題、専門職の訓練、当事者の経験を含めた情報収集を行う。 以上の情報収集、現地の専門家との協議を経て、日本の現状分析と課題の抽出を行う予定である。
|