研究課題/領域番号 |
23K01865
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
栄 セツコ 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (40319596)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 精神障害者 / 病いの語り / エンパワメント / 福祉教育 / ヒューマンライブラリー / リカバリーカレッジ / 共生社会 / パーソナルメディスン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、精神障害者に対する社会の偏見低減を目指し、人を「本」に見立てたヒューマンライブラリーの手法を用いた対話型福祉教育プログラムモデルを開発することにある。全国で開催されているヒューマンライブラリーのグッドプラクティスの事例から偏見低減に効果的な要素を抽出し、仮説モデルの生成・検証と修正を行い、実践で応用可能な福祉教育プログラムの提示や理論モデルの構築を図る。 このような対話型福祉教育プログラムの開発により、「本」となる精神障害当事者が目指す社会変革に寄与できるとともに、社会の周縁にいる人々への応用可能性を見出すことは、今後の多文化共生を目指す研究に役立つものと言える。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神障害当事者の語りを生かした対話型福祉教育プログラムモデルの開発であり、4か年の計画を立てた。その背景には、精神障害者や精神保健に課題を抱えている人々の増加があるものの、未だ精神障害者に対する偏見が高いことがある。偏見の低減には精神障害者との良好な接触体験が有効的と言われていることから、本研究の対話型福祉教育では相互理解を図る「対話」と共生社会を目指す「福祉教育」に着目した。 初年度は次の3点を計画し実施した。第1は、学校福祉教育におけるフィードワークを実施し、当事者の語りを生かした福祉教育の効果的なプログラム要素についてモニタリングを行う。今年度は、小学校1校と高校1校で福祉教育を実施し、効果的な要素として、当事者、教育機関、社会福祉協議会、保健所等の多様な組織によるチーム編成、教育プログラム(当事者の語りを含む)、チームをマネジメントする事務局機能、広報・啓発活動、ネットワークの構築が抽出された。第2は、有効的な対話型福祉教育プログラムを探るため、成人のwell-beingを目指す「リカバリーカレッジ」における「ヒューマンライブラリー」の実施のフィールドワークを行う。リカバリーカレッジは病いがあっても自分らしい生き方を目指す成人教育であり地域に開かれた場である。また、ヒューマンライブラリーは30分という限られた時間でマイノリティの人が「本」となって「読書」という対話を展開していく手法である。これらの特性を活かし、RCにおけるHLを3回実施した結果、語り手には自己理解が、聞き手には視野の広がりがみられた。このことから福祉教育の実践枠組みに、HLの手法を生かしたRCの可能性を示すことができる。第3は、偏見の低減に寄与する当事者の語りの特性を明らかにするためアクションリサーチを行った結果、当事者の語りが病理に偏らずリカバリーの物語が有用的であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒューマンライブラリーのフィールドワークを実施するにあたり、日本ヒューマンライブラリー学会を有効な情報源に予定していたが、本学会が閉会となったため、情報を得ることが困難となった。
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今後の研究の推進方策 |
精神障害当事者の語りを生かした対話型福祉教育プログラムモデルの開発にあたり、次年度以降の研究として、以下の3点を予定している。第1に、学校の福祉教育において、効果的なプログラム要素について、引き続き、モニタリングを行う。第2に、ヒューマンライブラリーの手法を用いた当事者参画型の福祉教育をリカバリーカレッジの場で開催し、その有用性を明らかにする。第3に、ヒューマンライブラリーのフィールドワークから対話による相互理解がみられる効果的な要素を抽出する。 上記の研究を推進する方策として、学校福祉教育、ヒューマンライブラリー、リカバリーカレッジを行っている団体・機関に本研究の趣旨に賛同してもらい研究協力を得ることがある。
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