研究課題/領域番号 |
23K01870
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
渋沢 進 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 特命研究員 (20110398)
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研究分担者 |
渡邉 俊哉 群馬工業高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (70825900)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 地域高齢者 / センサ組込み端末 / ハイブリッド・インタラクション / 生活活動データ / 調査アンケート / 生活満足度 / 健康行動 / 個人情報 / 生活の質 |
研究開始時の研究の概要 |
社会的行動制約によって、多くの高齢者の孤立が進み、心身が委縮し、小さい動作・行動が習慣化している。本研究課題では、センサ組込み端末を用いて地域高齢者の動作・行動を大きくする試みを行い、高齢者の健康行動を促進する手順と手法を導く。その際、人との近接交流を行い、高齢者とハイブリッド・インタラクションする。具体的には、(1)センサ組込み端末を用いた地域高齢者の自律的健康行動、及び複数の評価尺度による高齢者の生活の質の定期的調査 (2)センサデータと高齢者の生活の質を対応付ける高齢者健康行動の解析、及び複数のセンサデータを統合する解析技法の開発 (3)健康行動を促進する先進的情報基盤技術の開発
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研究実績の概要 |
本研究では、センサ組込み端末を用いて、地域の高齢者の動作や行動を増やす試みを行い、健康行動を促進する手法を開発することを目的としている。具体的には、高齢者の動作とセンサデータを関連付けて高齢者の情報を取得するとともに、声掛けによって高齢者の動作や行動を促す。センサデータによる高齢者の活動と健康行動の関係を解析し、高齢者の生活の質を定期的に調査する。 大量のセンサデータを効率的に処理するために、2023年度、最新の情報処理スキルを持つ若手研究者を研究メンバーに追加した。研究分担者は、高齢者のセンサデータ処理を行うとともに、手順の妥当性を検証し、次の研究ステップに反映する。研究代表者と分担者の所属機関が離れており、2023年度は、オンラインと現地面会の両方によって、研究の進展と成果を協議した。 本研究は、高齢者の個人情報を取り扱うため、研究に先立ち、所属機関の「人を対象とする生命倫理委員会」の審査を受けて、承認された。高齢者の実験データは、個人情報と活動データを含むため、十分注意して取り扱う。 2023年度は、高齢者の健康行動調査の実施手順を作成し、調査業務実施機関と打ち合わせた。実験参加者は、アンケートのみ、声かけ、スマートウォッチ、スマートスピーカ、両端末利用の5グループに分かれる。研究担当者は、アンケート、声掛け、端末データの回収を毎月1回行う。 地域高齢者の日常の生活活動と満足度、および情報機器の利用について、2022年度末にアンケート調査を実施し、2023年度に約60名の回答を集計して、その結果を考察した。知人交流度と生活満足度に強い正の相関があり、友人・知人との交流は生活満足度を上げる有力な方法の一つといえる。家事・個人活動時間と生活満足度の間には2次多項式に近い相関があった。勤務時間と生活満足度の間には相関がほとんど見られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
高齢者の生活活動と健康行動の関係を解析するため、前年度に実施したアンケート調査の結果を整理し、考察した。この調査は、高齢者の生活活動時間、情報機器の利用状況、主観的な生活満足度などを含んでおり、特に生活活動と満足度、情報機器の利用と身体活動の関係について詳しく考察した。調査結果は統計処理され、個人を特定できる情報は含まれていない。アンケート結果の整理に際して、回答式アンケートの集計と解析方法の定式化、及び生活活動と満足度の相関の導出に多大の時間を要した。 この経緯を考慮して、年度途中に最新の情報処理スキルを持つ他研究機関の若手研究者を研究メンバーに追加する手続きを行い、その手続きにある程度の期間を要した。今後、定期的な調査アンケートと大量のセンサデータの収集が見込まれるため、効率的なデータ処理方式を整えていく。また、実験参加者の個人情報を取り扱うため、所属機関の「人を対象とする生命倫理」の審査にも、申請から承認まである程度の期間を要した。 本研究では、センサ組込み端末と声掛けによるハイブリッド・インタラクションを用いて、高齢者の動作や活動を増やし、健康行動を促進する手法の開発をめざしており、その実験のために、実験参加者を5グループに分けて、約1年半にわたって調査する。実験参加者に毎月アンケートを実施し、端末利用者からデータを収集する。この実験を実施するため、研究担当者から調査業務実施機関に、実験の実施手順、研究参加者の活動内容、活動スケジュール、研究期間ごとの参加者の活動時間等の詳細を提示し、メールと面会による打合せをそれぞれ複数回続けてきた。調査機関は実施に同意しつつ、繁忙を理由に打合せと実験の開始が数か月にわたって進展せず、2023年度は実験開始の合意まで至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
高齢者の生活活動と満足度に関する調査アンケートの整理と、センサ組込み端末と声掛けによるハイブリッド・インタラクションの実験を以下のように進める。 1.既に実施した高齢者の生活活動と満足度に関するアンケート調査の結果を、できるだけ早く整理して、研究発表し、他研究者と研究討論する。高齢者の調査アンケートより明確になった課題の一部は次のようである。 (1) 知人交流度と生活満足度の間に強い正の線形相関があり、高齢者が楽しく友人・知人と交流する機会を増やす定量的方法を検討する。 (2) 高齢者が楽しいと思うことを奨励して、その行動や成果に報酬を出す仕組みを検討する。家事や仕事の内容を精査して、高齢者が楽しくなる仕組みの構築は、今後の社会システム開発に重要であり、ゲーム的要素は貴重である。 (3) 今回の調査では、長時間働いても生活満足度が低い高齢者が相当数いることから、経済的背景の調査項目も加えて評価し、社会的改善方法を検討する。 2.センサ組込み端末と声掛けによるハイブリッド・インタラクションの実験の実施手順を再確認して、研究を進める。高齢者健康行動の調査実験を分割し、より詳しい仕様(関係者、参加者、人数、活動内容、活動時間等)を調査実施機関に提示し、合意ができたら、スマートウォッチの導入、研究補助者用のマニュアルの作成等を行う。 3.今後、定期的な調査アンケートと大量のセンサデータの収集が見込まれるため、研究分担者と効率的なデータ処理方式を整えていく。 本研究課題の実施は、研究代表者と研究分担者の2名によって研究を進め、必要に応じて他研究者に研究協力と研究討論を要請する。また、ヒューマンインタラクション、センサネットワークシステム、高齢者の社会医療的課題等に関する研究集会、及び他研究者との研究討論に積極的に参加する。研究結果の整理ができた内容から、国内外の学会で研究発表していく。
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