研究課題/領域番号 |
23K01872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
濤岡 優 静岡大学, 国際連携推進機構, 研究員 (50939527)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 高齢者介護 / 家族介護 / 親族介護支援制度 / フィンランド / ケア / 家族 / informal care / 親族介護制度 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、北欧社会の高齢者介護制度における家族介護の実態と課題を、被介護者やその介護の担い手となる家族の視点から解明することである。北欧諸国は、近年社会の高齢化の加速や財政の逼迫を背景に、社会福祉のあり方を大きく方向転換させ、介護者としての家族の立場を法的に定めた「親族介護支援制度」を導入している。本研究では、北欧諸国の中でも本制度を先駆的に進めてきたフィンランドを取り上げ、その社会において、①この制度はどのように認識されているのか、②制度の利用にあたり、家族の中で介護を担う者はどのようなプロセスで決定されていくのか、を検討する。
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研究実績の概要 |
来年度以降に実施する予定となっているフィールドワーク、およびインタビュー調査の準備として、本研究の調査対象地であるフィンランドに渡航し、家族介護支援制度に関わる社会福祉施設や研究機関を訪問した。 そこで本制度に関する調査を進めている研究者や社会福祉施設の職員にヒアリングを行い、親族介護支援制度が実際にはどのように運用されているのか、運用上どのような課題があるのかについて調査した。 その結果、以下のことが把握された。①制度の導入以降、利用者人数は上昇していたが、2022年以降から低迷・減少傾向にあること、また制度上の課題、および制度利用者、特に自治体との契約のもと家族のケアを担う介護者側が直面している課題として、②自治体ごとに親族介護支援制度の運用の仕方や規定が異なり、サービス内容や介護者に支給される金額に違いがある、結果、介護者が期待する介護者側に提供される支援(自治体との連携やレスパイトケアなど)と実状の間にずれが生じていること、③制度上では、親族の範囲を広く定義することにより、家族だけではなく近隣の人、友人等も介護者になることが可能となっているが、実際は介護を必要とする者の配偶者が介護者になる場合が多く、制度の利用が狭い関係性の中に留まっていること、④介護を提供する相手が自分自身の配偶者・親といった近い関係にあることによって、途中で自治体との契約を解除し介護者であることを中断すること、あるいは断ることができず、さらに自らが被る不利益や周りからのサポートの必要性を主張できない、といった状況が把握された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際に現地に渡航し本制度に関する研究を行っている研究者や、制度運用に携わっている社会福祉施設職員との情報交換・ヒアリング調査を実施することができた。今後は、フィールドワーク、およびインタビュー調査を実施するための調査対象者の募集を行う予定であるが、それに関しても協力を得られることになっている。 以上の理由から、該当年度の研究課題はおおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、実際に制度を利用している被介護者、介護者にヒアリング・インタビュー調査を行い、①どのような状況で制度の利用が可能になっているのか、②利用するにあたってどのような難しさがあるのか、③制度を利用する前の段階で被介護者ー介護者の間でどのような話し合いがなされ依頼・承諾をしているのか、④家族以外の者が介護の担い手となっているケースがどれくらいありどのような状況でそれが可能になっているのか、を明らかにするための調査を行う予定となっている。
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