研究課題/領域番号 |
23K01905
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
矢原 隆行 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 教授 (60333267)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | リフレクティング / リフレクティング・プロセス / アクションリサーチ / 矯正施設 / 組織風土 / 対話実践 / ダイアローグ / 立ち直り |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、矯正施設における入所者の立ち直り支援、および、矯正施設自体の組織風土の変容のため、北欧諸国の現場で成果を挙げている「リフレクティング・プロセス」を基盤とした対話実践を国内の複数の矯正施設に実装することを試みる実践研究である。 具体的には、北欧の臨床家トム・アンデルセンらによって提唱されたリフレクティングを国内の矯正施設(少年院および刑務所)に実装し、当該施設とともに協働的アクションリサーチを実施したうえで、日本の矯正現場の文脈に応じたその深化の可能性を臨床社会学の視座から検討、立ち直り支援と矯正施設の組織風土の変容・更新に並行して取り組む。
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研究実績の概要 |
本研究は、矯正施設における対話実践を用いた立ち直り支援と組織風土変容のため、北欧の矯正現場において着実な成果を挙げている「リフレクティング・プロセス」を基盤とした対話実践プログラムの実装化に関する実践研究を国内の矯正施設で推し進めるものである。具体的には、①北欧諸国の先進的実践現場の詳細な実態調査を行い、その方法的特質を明らかにするとともに、その研究成果を踏まえ、②国内の矯正施設と協働して中・長期的な参加型アクションリサーチを行い、実際に現場職員らによって活用可能なリフレクティングの具体的プログラムを構築、さらに、③矯正現場にリフレクティングを実装することで、日本の矯正施設の組織風土がいかに変容するのかについて、その詳細を観察し明らかにする。 2023年度、国内では、リフレクティングに関するこれまでの理論研究を総括するとともに、国内の矯正施設におけるアクションリサーチを継続実施した。アクションリサーチに関しては、具体的なフィールドとして、当研究室で共同研究の協定を結んでいる美祢社会復帰促進センターおよび福岡少年院のそれぞれの施設に毎月の訪問を継続。そのなかで職員向けのリフレクティング研修、入所者とのリフレクティング・トークの実践、職員間でのリフレクティング・トーク、全職員を対象とした「心理的安全性」尺度を含む質問紙調査と、その結果を踏まえた会話の場の設定などを実施することができた。さらに、2023年度後半には、九州で唯一の女子の少年施設である筑紫少女苑、LB級に分類される熊本刑務所との共同研究の調整を進め、2024年度からはそれらの施設も加えた実践研究が展開可能な体制を構築している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
法務省において「受刑者の各種指導に関する訓令」が一部改正され、一般指導改善の種類及び内容として、「対話実践」が実施される方針が示され、その具体的方法として本研究が取り組んできたリフレクティングが導入されることとなったことで、矯正領域全体において本研究への関心が高まっており、新たな共同研究体制の組織化も順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降、北欧の刑事施設でのリフレクティングの現場の実地調査を計画しており、ノルウェーをはじめとする先進地域での知見を国内でのアクションリサーチに活かすこと、同時に、全国の矯正施設への波及の具体的方策についても検討を進める。
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