研究課題/領域番号 |
23K01913
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 仙台白百合女子大学 |
研究代表者 |
八木 孝憲 仙台白百合女子大学, 人間学部, 准教授 (70827344)
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研究分担者 |
井出 智博 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20524383)
鬼塚 淳子 東京大学, 相談支援研究開発センター, 特任助教 (90585613)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 里親支援 / フォスタリング機関 / 社会的養護 / AD / ケアリーバー / 家庭的養育 / 里親養育 / 未来語りの対話 / 心理的ケアプログラム |
研究開始時の研究の概要 |
日本の家庭養育推進には里親へのケア体制の整備が不可欠である。里親が求めるケアとは、目の前の不調な状況を理解する知見と、具体的な行動指標に向けた指針、そして長期的な展望を持った将来像が描けることである。里親支援には,これまで注目されてこなかった,里親を中心に据えた里親センタードの支援が必須である。本研究では,養育里親(以下,里親)が安定して里子養育ができるよう,里親の心理的ケアに焦点を当てた「未来語りの対話(Anticipation Dialogue」を用いて,里親を中心とした支援的な対話による心理的ケアログラムの開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
現在,日本ではパーマネンシー保障が重視され,その具体的な方策として特別養子縁組, あるいは家庭的養育が推進されている。実際に里親家庭の数や委託される児童数は増加し,特別養子縁組の成立件数も増加している。しかし,未委託里親の割合も依然高いままである。単に養親や里親を増やすだけではなく,真に子どもの養育に適した養親や里親をアセスメントし,子どもがそこで暮らし続けられるような支援を提供する体制(パーマネンシー保障)の整備,あるいは養親や里親自身が養親,里親としての自らの生き方に納得して生きていくことを支える体制の整備が今の日本には必要である。けれども,そうしたアセスメントの方法が具体的に示されていない現状がある。 上記を踏まえて,CCPと連動した施設児童へのADカンファレンスについてのマニュアルについて検討し,A施設のケアリーバー複数名にインタビュー調査を実施した。また,B市里親会の中高生グループを計画し,順調に推移しているものと考える。里親を対象とした調査についての計量分析が完了し,次年度に向けてインタビュー調査の内容を検討している。 また,C市里親会における実践研究のミーティングが完了し、次年度にADを複数回実施することが決定している。 ①里親の声を聴く・里親が困りごとを語れる場の創出、②里親・里子・関係する支援者による対話の場の創出プログラムの実践、③里親養育の安定に必要な支援ニーズの把握と還元、以上3つの里親センタード・ケアプログラムを実施し,里親の心理的ケアの定着と、家庭養育の支援体制への検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初策定した3か年計画における,初年度に取り組む事項は概ね順調に推移している。AD導入の効果検証,および里親・里子支援プログラムへのフィードバックを実施した。 一昨年2022年度に実施した,里親へのAD導入によって得られた心理的ケアの有効性を検証し,2023はAD参加里親さんへのフォローアップ・ミーティングを実施した。さらに,各里親の支援者と協働しつつ,里親・里子・支援者が対話を通して支援を行う体制のモデルづくりを行った。併行して,里親の声・要望を聴く体制の継続,各団体の里親養成・支援プログラムに反映できる仕組みの検討を行った。また,次年度以降の計画に係るミーティングや日程調整も滞りなく進んでおり,里親支援に関連するアセスメントの方法など,具体的に検討することが出来ている。なお,今年度取り組んだプロジェクトについては,次年度に学会大会にて発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
養親,里親支援に関わる人に必要な知識やスキルについての知見を多く提供することを目指して,基本的な姿勢,何を大切にするかという価値観の部分をより具体的に検討するものである。例えばアセスメントモデルとして「交換モデル」の重要さに言及し,支援者が申請者を一方的に評価したり,導いたりするのではなく,申請者自身が内省を深めながら子どもを迎える意味やそのために自分,あるいは家族がどうありたいかを内省していくことを重視しているモデルをベースに取り組んでいく。養親や里親の申請に対するアセスメントでは,評価する人とされる人という関係が生じやすく,子どもが委託されなくなると思うと,フォスタリング機関に本音で話をすることができないという里親の声に触れることがある。申請者自身が自己理解を深め,養親,里親になることの意味や,養親,里親としてどう生きていくのかという展望を省察することを促すような姿勢が示す必要性がある。日本で養親や里親候補者のアセスメントに生かされることで子どもの最善の利益に貢献できる反面,その内容を実現するためには制度変更も必要だという限界も述べていきたい。 今後は里親・里子・関係する支援者による対話の場の創出プログラムの実践に取り組み,対話の場の創出プログラムの検討にあたり,社会的養護ケアの先進的モデル例(AD(Anticipation Dialogue),EG(エンカウンター・グループ),PCAGIP(ピカジップ:Person Centered Approach Group Incident Processなど)をベースに,専門用語を用いず,参加者にわかりやすい対話型ミーティング・プログラムを作成し,実践する。
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