研究課題/領域番号 |
23K01934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
山田 勝美 山梨県立大学, 人間福祉学部, 教授 (70290640)
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研究分担者 |
井出 智博 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20524383)
有村 大士 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (90712068)
林 知然 山梨県立大学, 人間福祉学部, 講師 (10975931)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 社会的養育 / ドリフト / 複合的な喪失 / ケア指標 |
研究開始時の研究の概要 |
海外の研究報告及び先駆的事例や我が国の現状、特に、児童養護施設に入所する子どもたちの現状に関する情報収集を行い、ドリフトの現状や課題を整理する。そのうえで、全国の児童養護施設への実態調査を行いつつ、ドリフトが起きた中にあって、比較的予後がよい事例を抽出し、かつ、当事者へのヒアリング調査を実施、試験的にケア指標を作成し、さらにその指標の妥当性を検証しつつ、日本版の社会的養育包括的評価指標を作成する。
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研究実績の概要 |
本年度の研究成果としては、予備調査と位置づけ、ドリフト事象の状況把握を目的として、複数の社会的養護関係施設(乳児院、ファミリーホーム、児童養護施設、自立援助ホーム、里親支援機関)に対するヒアリング調査を実施した。まず、ドリフトを2つ以上の措置変更が実施された状況を意味するものとして操作的に定義した。単なる措置変更は除くという意味である。このことをふまえ、結果として、ケアの限界にともない、確かにドリフト事象が起きていること、特に、措置変更先とのケアの連続性の確保が十分なされないケースがあり、そうしたケースほど子どもの置かれている実態がより重篤化する傾向にあることがみえてきた。特に、前施設からのケアの引継ぎがないこと、こどもの了解と説明が十分でないことが、次の施設のケアの実施を困難にしていること、これらの積み重ね等によって、ドリフト事象が引き起こされていることがみえてきた。 この調査結果をもとに、日本子どもの虐待防止学会において、特に、ドリフト事象における子どもの複合的喪失という観点から事例を検討し、検討すべき課題の明確化を図った。あいまいで了解もされていないドリフトの場合、子ども自身の見捨てられ感は強化され、特に、自分自身の存在意義を危うくさせること、その結果として、他者への支配等に転化され、それが結果としてケアの困難さを生み出すのではないかという仮説が生成されてきている。あらためてドリフト事象を防ぐためにには、こどもへの移行に関する説明と了解の必要性が浮き彫りになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備調査として、ドリフト現象が確実に存在していること、そして、ドリフトが繰り返される度に、子どもの抱える課題を重層的に困難にしていること、その背景には複合的な喪失、特に、あいまいな理由のもとケア実施者、施設からに移行、それは、こども自身からすれば自らに問題があったとしか受けとめ難いこと、そうした現実の受けとめ難さが次に移行先のケアを困難にするという悪循環が見えてきた。また、ケアを行った者同士の引継ぎが連携がうまくなされていないことが問題をさらに悪化させる要因のひとつになっている。こうした状況がみえてきていること、これをもとに次年度の実態調査等を実施できることが、おおむね順調に進展していると考える理由である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度行った調査仮説をもとに当初計画していたドリフトをめぐる全国の社会的養護関係施設に対する実態調査の実施と同時にヒアリング調査の実施を行う予定である。まず、「A調査」として、全国の社会的養護施設に対する悉皆調査を行う。どの程度ドリフト現象が起きているか、どういう実態なのか、どの施設もしくは里親等からどの施設もしくは里親等へ移行しているのか、頻度等の状況(例えば、5回以上のドリフトを経験している子どもがどの程度いるのか)をまず確認する。 そのうえで、まず明らかにしたいと考えていることのひとつは、最初の児童福祉施設に入所するまでの過程において何が起こっているのかを明らかにすることである。次に明らかにしたいのは、児童福祉施設に入所した後の状況である。特に、行きついた最終の施設ということになるわけだが、そこに辿り着くまで、こども自身は、それまでの移行体験をどう整理しているのか、理由の説明や移行そのものをどう認識しているのか、わかる範囲で職員に記名していただく。 これを受け、B調査を実施する。B調査は、現在、ドリフトを経験している子どもを受け入れ、その回復過程へと展開した施設への聴き取り調査を実施する。本研究の目的は、ドリフトの実態把握とそれを防ぐための支援のあり方を検討するものである。そこでいわば成功事例を分析検討することを通して、それが可能となるのかを明らかにしたい。どういった背景をもつ子ども、当該施設に辿り着くまでの過程、特に、それまでの施設で起こしたと考えられる問題事象と、そこへの支援の経過、それを受けて、加えて、どのような支援を展開することを通して、回復傾向へと導いたのかを明らかにしたい。にあるとすればそれはどのような理由によってもたらされたのかを尋ねる予定である。
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