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においプロファイルに基づく抗酸化物の食品酸化促進挙動の解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 23K01966
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分08030:家政学および生活科学関連
研究機関福岡女子大学

研究代表者

石川 洋哉  福岡女子大学, 国際文理学部, 教授 (00325490)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
キーワード抗酸化物 / 酸化促進 / 超高速GC / におい分析
研究開始時の研究の概要

抗酸化物は、食品の加工・貯蔵・調理等の過程において生じる酸化反応を抑制する目的で利用するものであるが、逆に酸化を促進し、食品品質に重大なダメージを与える可能性があ る。本研究では、真に「おいしい」食品の創造を目指し、食品の多面的「においプロファイ ル」に基づいて、抗酸化物が原因となって生じる食品成分の酸化促進(異臭の発現)挙動を解明するとともに、抗酸化物間での相互作用を活用することにより、効率的な異臭制御を試み、最終的には、実食品への展開可能な新たな食品のにおい保持技術の確立を目指す。

研究実績の概要

本研究は、天然抗酸化物により惹き起こされる食品成分の酸化促進現象、今回は特に、脂質酸化分解物である「におい(異臭)成分」の動的挙動(においプロファイル)に着目し、多種多様な抗酸化物を用いてそれぞれの酸化促進効果の有無とその挙動を、最新のにおい分析装置(超高速GC、におい嗅ぎGC-MS等)を用いて網羅的に解析し、そのメカニズムを解明するとともに、抗酸化物の併用による酸化促進(異臭増強)の制御を試み、科学的根拠に基づくにおい劣化制御技術を新たに提示することを目的としている。本年度は、まず脂質の酸化に伴う異臭の生成挙動の確認と数種の抗酸化物添加効果を確認した。リノール酸エマルジョン溶液をモデル溶液として、各種異臭(揮発性)成分の生成挙動を37℃(酸化促進剤AAPH添加)、あるいは50℃(酸化促進剤無添加)で21日間確認した。その結果、いずれの温度条件下でも、およそ7-14日間で各異臭成分の生成がピークを迎え、その後減少する挙動が確認された。続いて、数種の抗酸化物の添加試験を実施した。その結果、ロスマリン酸では37℃(酸化促進剤AAPH添加)保存時に、14日目に異臭成分の増加が確認され、主要異臭成分であるhexanalのGCピーク面積は、無添加時の2倍近くまで増加していることが判明した。さらに、14日目以降のGCピーク面積はロスマリン酸濃度の増加に伴い増加する傾向も観察され、リノール酸の酸化を促進している可能性が示唆された。同様の傾向が他の抗酸化物でも観察された一方、ミリセチンなど一部の抗酸化物では、21日間保存後も酸化が抑制されていることも確認された。今後、さらに詳細な検討を行い、酸化促進の可能性を探るとともに、その抑制挙動の検討を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、研究初年度であったことから、リノール酸由来の異臭の生成挙動を複数条件下で確認するとともに、数種の抗酸化物での添加試験を実施したところである。2種の酸化条件下での異臭生成を超高速GCシステムにより確認し、数種の抗酸化物を用いた劣化抑制試験を実施している。まだ限られた条件下ではあるが、順調に成果を上げており、脂質由来異臭成分の生成挙動を確認し、抗酸化物の添加効果を確認するに至っている。抗酸化物による酸化促進挙動の把握に向けて、まだ一部ではあるが興味深い知見も得られている。今後、抗酸化物の種類、添加条件を詳細に検討する予定であり、抗酸化物による食品のにおい制御技術の確立に向けて、順調に研究が進展していくものと考えられる。研究の方向性等は特に修正の必要はないものと判断している。

今後の研究の推進方策

今後は、2023年度の研究成果を基に、超高速GC分析によるリノール酸由来異臭の生成挙動を更に経時的な挙動を詳細に検討する。23年度は、限られた時間間隔の中での異臭生成挙動の確認にとどまっていたため、測定時間の間隔を短くするなど工夫しながら、詳細な挙動の確認を行いたい。さらに、対象とする各種抗酸化物に関しても、ポリフェノール系の一部の化合物の効果しか検証しておらず、対象抗酸化物の範囲を拡大していく予定である。さらに、本研究で用いる超高速GCでは、検出された揮発性成分の分析パターンにもとづいて多変量解析等の統計解析が可能である。本装置により、各種抗酸化物による異臭生成抑制・促進の挙動をより詳細に検討することが可能と考えられる。具体的には、各種抗酸化物使用時のGC分析結果をもとに、揮発性成分のパターンに応じた主成分分析が可能であり、各種抗酸化物による効果を視覚的にパターン分析することが可能になると考えられる。さらに、今後は抗酸化成分2成分を同時に使用した場合の効果も詳細に検討する予定である。具体的には、各抗酸化物による異臭促進・抑制挙動をもとに、Median effect analysisを行い、相乗効果の「有無」と「程度」を各濃度レベルで詳細に解析することを試みることにより、抗酸化物2成分混合系での、相乗効果の発現挙動を詳細に検討する予定である。一連の解析を通じて、抗酸化物による酸化促進(異臭増強)の制御を試み、科学的根拠に基づく食品のにおい劣化制御技術の確立を目指す。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 各種抗酸化物によるリノール酸酸化臭成分の生成抑制挙動2023

    • 著者名/発表者名
      元平侑那、餅田浩基、丸石優紀、小林 弘司、石川 洋哉
    • 学会等名
      第60回 化学関連支部合同九州大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 各種抗酸化物によるリノール酸由来異臭成分の生成抑制効果とその持続性2023

    • 著者名/発表者名
      元平侑那、太田香穂、餅田浩基、丸石優紀、小林 弘司、石川 洋哉
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第70回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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