研究課題/領域番号 |
23K01972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
今枝 奈保美 至学館大学, 健康科学部, 教授 (80387662)
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研究分担者 |
尾崎 悦子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00438219)
指宿 りえ 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (90747015)
渡邉 美貴 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (60773695)
篠壁 多恵 愛知医科大学, 医学部, 講師 (90828774)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 最終糖化産物 / 食事記録調査 / ペントシジン / 尿中ペントシジン / 終末糖化産物 / コーホート研究 / 骨粗鬆症 |
研究開始時の研究の概要 |
ペントシジンは、尿から採取できる骨代謝マーカーで、貯留すると骨質劣化をまねき、骨の強さを損なうが、その過程には、年齢、性、生活習慣、腎機能などの多くの交絡因子が存在する。対象集団は縦断的疫学調査の協力者約3,000人で、食事記録調査を実施済である。本研究ではAGEs摂取量の簡便なアセスメントツールを開発するために、食事記録からAGEs摂取量を推定し、その供給源食品を探索する。推定したAGEs摂取量の妥当性を検討するために、尿中ペントシジンを基準として関連を検討する。並行して、食事記録を栄養計算する過程も、作業の合理化を工夫する点が独創的である。
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研究実績の概要 |
ペントシジンは、尿から採取できる骨代謝マーカーで、貯留すると骨質劣化をまねき、骨の強さを損なうが、その過程には、年齢、性、生活習慣、腎機能などの多くの交絡因子が存在する。対象集団は縦断的疫学調査の協力者約3,000人で、食事記録調査を実施済である。本研究はAGEs摂取量の簡便なアセスメントツールを開発するために、食事記録からAGEs摂取量を推定し、その供給源食品を探索する。並行して、食事記録を栄養計算するプロセスにおいて作業の合理化を工夫する点が独創的で、食事・ペントシジン貯留・骨質低下の3点を一連で評価する研究を目指している。 2023年度は、食事記録調査を簡便化するために、八訂日本食品標準成分表に掲載されている詳細な食品番号によるコーディングではなくて、簡単に100項目程度の食品番号で推定した栄養摂取量の妥当性について、大学生340人を対象に検討した。食事記録調査は、隔日3日間の食事を紙と写真で秤量記録させて、八訂日本食品標準成分表の詳しい食品番号で算出した栄養摂取量(B:basic)と、約100種の食品番号で簡便にコーディングして算出した栄養摂取量(S:simple)を比較した。その結果、両者BとSのエネルギー摂取量は、たんぱく質比率、脂質比率の平均は近似しており、相関係数は各々 0.96、0.85、0.85と良好であった。相関係数は、ビタミン13種でも 0.71~0.97、ミネラル11種でも0.72~0.94と高く保たれていたので、総じて食事記録をシンプルにコーディングした栄養摂取量の推定は妥当性が良好で、栄養疫学における個人差を同定する方法としての有用性が示唆された。 本研究は大規模な集団を対象にしているので、食事記録データの処理コストを軽減する必要がある。この知見は大いに参考にしたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食事記録からのAGEs摂取量と尿中ペントシジンによる骨粗鬆症リスクの研究に関する倫理申請は、本学において2023年4月に、検体採取フィールドにおいて11月に許可され、同時に、対象者にはホームページで情報提供し、オプトアウトでインフォームドコンセントを得た。 本研究では、最終糖化産物と骨粗鬆症リスクの関連を検討する指標として、尿中ペントシジンの測定を計画している。しかしその尿試料は、既存のコホートの検体であり、保管数に限りがある。研究初年度は、追跡研究として脱落のない最適なID(個体識別子)、つまり、ベースライン健診、第二次健診、三次健診のデータが揃ったIDを特定する作業に至らなかったが、今年度の健診で新たに採取した尿試料については、ペントシジン濃度が測定できたので、健康集団のペントシジン濃度の標準値を推定し、食事摂取量や年齢との関連について学会発表ができた。 また、健診会場で食事記録原票を面接して記録内容を確認する手順と、摂取量を推定するために食品模型や食器を活用する等の標準化技法を協議した。
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今後の研究の推進方策 |
①尿中ペントシジンの測定を継続:最終糖化産物と骨粗鬆症リスクの関連性を検証するために、尿中ペントシジンの測定を継続する。但し、今年の健診で得られた健康集団のペントシジン濃度(標準値、分布、食事の影響)を評価して、骨粗鬆症リスクを同定するために必要なサンプル数を再検討する。 ②先行論文をレビューして、尿中ペントシジン濃度と骨粗鬆症との関連、あるいは他の疾患との関連を検索し、ペントシジン濃度が有効なマーカーになりうるかを検討する。 ③食事摂取量を推定するための食品成分表については、最終糖化産物が推定できるデータベースを充実させる。 ④食事記録調査の計算処理: 食事記録調査の簡便化する技法を開発・実装し、効率性の向上を図る。 ⑤必要サンプル数の再検討:ペントシジン濃度の測定コストは研究申請時とは変わっており、紙媒体の食事記録原票を電子化する作業の追加コストが生じているので、研究全体のサンプル数を再検討して、費用対効果の高いエビデンスを目指す。
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