研究課題/領域番号 |
23K01987
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
河原 聡 宮崎大学, 農学部, 教授 (30284821)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 食肉製品 / 食味性 / 食塩 / ミネラル / 脂質酸化 / 無機塩類 / 香り |
研究開始時の研究の概要 |
食品添加物である亜硝酸塩は、ミオグロビンの安定化を介して、食肉製品の脂質酸化を抑制する作用をもつが、発がん性物質であるニトロソアミンの生成要因でもある。申請者は、亜硝酸塩を低減した食肉製品の製造に天然塩を使用すると脂質酸化が抑制され、製品の風味が改善されることを見出した。脂質酸化を抑制する作用を有する天然有機化合物は数多く報告されているが、天然塩に含有される無機塩類が食肉・食肉製品の脂質酸化を抑制するとする報告は極めて少ない。 そこで本研究では、食肉製品において脂質酸化を抑制する効果をもつ天然塩中の無機塩類を明らかにし、その作用機序を解明する。
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研究実績の概要 |
無機塩類が食肉製品の脂質酸化に及ぼす影響を検討する目的で、本年度はモデルソーセージの脂質酸化および官能的な品質に1)種々の天然塩、ならびに2)天然塩に特徴的な陽イオン成分が及ぼす影響を調査した。 モデルソーセージは国産の豚もも肉を原材料とし、天然塩あるいはミネラル含量を調整した精製塩を添加してケーシングに充填したのち、中心温度63℃で30分間加熱して調製した。脂質酸化の指標としてチオバルビツール酸反応物質値(TBARS値)を水蒸気蒸留法により行うとともに、消費者型官能評価を実施した。また、ソーセージの加熱調理により生成する香気成分をヘッドスペース法により採取し、GC/MSにより分析した。 1)については、添加した食塩によりTBARS値は増減したが、各種のミネラル含量と明確な相関は認められなかった。一方、ナトリウム塩に対するモル比を調整してカリウム塩、マグネシウム塩およびカルシウム塩を添加した2)の試験結果から、カリウム塩およびカルシウム塩は脂質酸化を抑制することが確認されたが、酸化抑制の効果が得られる濃度域はカリウム塩の方がカルシウム塩より低いことが示された。官能評価においては、TBARS値とソーセージの食味性は不相関せず、脂質酸化の進展が必ずしも食味性を低下させる訳ではないと推測された。一方で、製品に検知された風味はカルシウム塩やマグネシウム塩により向上し、カリウム塩は不快風味を低減させることが示唆された。加熱時に発生する揮発性成分(鼻先香)の組成には明確な際は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに研究は進んでおり、一定の知見が得られている。当初の作業仮説とは異なる結果が得られているが、それらの検証は本年度に実施を計画している研究をとおして実施可能である。
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今後の研究の推進方策 |
当初に計画したとおり、本年度は食肉製品の脂質酸化に大きな影響を及ぼすと考えられているミオグロビンに食塩成分が及ぼす影響について検討を開始している。また昨年度の検討から、食肉製品の食味性を左右する香気については鼻先香よりも、風味を形成する口中香に食塩成分が影響することが示唆された。この結果を受け、本年度に計画している試作品の香気に関する検討項目においては、鼻先香成分に加え、口中香成分に関する検討も行うことにしている。
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