研究課題/領域番号 |
23K01994
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
浅野 友美 金城学院大学, 生活環境学部, 講師 (90637951)
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研究分担者 |
財津 桂 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (30700546)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | クッキングメタボロミクス / かつお出汁 / 減塩 / 味覚 / PESI/MS/MS |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、食品中の成分分析技術である「クッキングメタボロミクス」を用いて、減塩によって低減する「塩味」の代替成分や補完成分とその組合わせを科学的に解析する。 具体的にはヒト官能検査による主観的な味覚の評価と味覚センサーによる味覚の数値データ、PESI/MS/MSやGCを用いたメタボロミクス分析データを統合し、データサイエンスを駆使することで、「塩味」や「美味しさ」と関連性の高い成分を特定する。さらに得られた結果から、塩味に大きな影響を及ぼす成分やその組成を可視化することで味覚の最適化を行う。 本研究成果は「美味しく満足できる減塩食品」の提案に貢献するとともに、食塩摂取量低減の一助となる。
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研究実績の概要 |
近年、美味しさを科学的に可視化する手法として食品成分の網羅的解析技術である「クッキングメタボロミクス」が注目されている。本研究では、探針エレクトロスプレーイオン化質量分析(PESI/MS/MS)を用いたクッキングメタボロミクスにより、減塩食品の美味しさを科学的に評価し、減塩食品における味覚最適化に科学的にアプローチすることを目指している。澄まし汁は、出汁の旨味と醤油の塩味の対比効果により、塩味のみに頼らない美味しさを有する料理である。このことから、令和5年度は、まずはクッキングメタボロミクスによるかつお出汁の成分プロファイルが可能かを検討した。 かつお出汁は花かつお・厚削り・本枯節・本枯節(血合い抜き)の4種とした。初めにPESI/MS/MS分析条件の最適化を行い、かつお出汁分析の予備検討を実施した。分析が可能であることを確認し、まずはかつお出汁4種の成分プロファイリングを行った。 各試料から65成分が検出された。得られた多変量データについて潜在構造投影判別分析(PLS-DA)を適用したところ、4種のかつお出汁はスコアプロット上で明確に群分離し、成分プロファイリングが可能であることが示された。かつお出汁で群分離に寄与した成分はアミノ酸、有機酸などで、特にうまみ成分として知られるイノシン酸、グルタミン酸、グアニル酸を含めたアミノ酸が成分プロファイリングに影響した。 次年度以降は澄まし汁の分析も行い、出汁の種類や醤油との組み合わせにより、どのように成分プロファイルが変化するかを検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クッキングメタボロミクスのための分析条件の最適化において、我々の研究グループで用いてきた従来の質量分析計のメソッドに新たなうまみ成分(イノシン酸とグアニル酸)を追加するため、この2成分の分析パラメーターの探索を行うことからスタートした。同時にかつお出汁の抽出条件の確認も行った。 かつお出汁の予備分析を行い、分析時の希釈倍率の検討等にも時間を要したため、本年度はかつお出汁4種の分析の実施のみとなった。 かつお出汁では良好に分析可能なことが示されたため、来年度は澄まし汁を実際に分析する。
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今後の研究の推進方策 |
花かつお・厚削り・本枯節・本枯節(血合い抜き)の4種の出汁と、濃口醤油・薄口醤油・減塩醤油の3種を組み合わせて分濃度0.8%の澄まし汁を作成し、各澄まし汁の成分プロファイリングを実施する。また、官能評価も実施し、クッキングメタボロミクスによる客観的データと官能試験による主観的データの相関を評価し、味覚の最適化を行う。
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