研究課題/領域番号 |
23K02007
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
|
研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
萩原 知明 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20293095)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 冷凍食品 / 不凍タンパク質 / AFP / 氷結晶 / 再結晶化 |
研究開始時の研究の概要 |
不凍タンパク質(AFP)は氷結晶表面に特異的に結合して、凍結食品の品質劣化の原因となる氷結晶の再結晶化を強く抑制する。本研究は現実の食品に近いモデル食品を用いて、AFP添加による再結晶化抑制効果の定量的評価およびその体系的把握を行い、AFP使用の最適条件の解明を試みるものである。本研究の成果は、画期的な省エネの食品凍結保存技術の実現とその効率的な利用に貢献する。また、医学・生体材料の凍結保存への応用・発展および省エネな凍結保存技術が実現することによる地球温暖化防止への貢献も期待できる。
|
研究実績の概要 |
不凍タンパク質(AFP)は氷結晶表面に特異的に結合して、凍結食品の品質劣化の原因となる氷結晶の再結晶化を強く抑制する。AFPを食品に添加することで、長期間にわたって品質保持が可能な食品凍結保存技術の実現が望まれている。しかしながら、AFPの再結晶化抑制挙動に関する知見の蓄積は少なく、AFP添加による再結晶化抑制効果を定量的に評価し、AFP添加濃度などの使用条件の最適化を試みた例は皆無である。本研究は現実の食品に近いモデル食品を用いて、AFP添加による再結晶化抑制効果の定量的評価およびその体系的把握を行い、AFP使用の最適条件の解明を試みるものである。 2023年度は、モデル食品(スクロース溶液、米飯ペースト、小麦ドウ、タマネギ表皮組織)中での氷結晶の再結晶化進行速度の定量的評価方法の確立を試みた。本研究は現実の食品に近いモデル食品を用いて、AFP添加による再結晶化抑制効果の定量的評価およびその体系的把握を行い、AFP使用の最適条件の解明を試みるものであり、そのための第1歩として、氷結晶の再結晶化進行速度の定量的評価方法を確立することは不可欠である。スクロース溶液、タマネギ表皮表皮組織に関しては、既存の温度制御装置付き光学顕微鏡を用いて氷結晶の観察ならびに再結晶化進行速度の定量的評価方法可能であった。小麦ドウに関しては、小麦含量が低ければ、同様の手法が適用可能であった。米飯ペーストおよび高濃度小麦ドウに関しては、試料を薄く広げて、氷結晶を均一に分散させることが困難であり、氷結晶とそれ以外の成分を区別することが困難であった。 比較的容易に観察手法が確立できたスクロース溶液を用いて、不凍タンパク質(I型、Ⅱ型)を添加した試料を用いて、氷結晶の再結晶化速度定数の算出を行い、再結晶化抑制効果が確認できる不凍タンパク質の濃度範囲を把握した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米飯ペースト、小麦ドウについては、氷結晶の観察方法が確立できていないところがある一方で、スクロース溶液を用いた実験では、前倒しで不凍タンパク質(I型、Ⅱ型)を添加した試料を用いて、氷結晶の再結晶化速度定数の算出を行い、再結晶化抑制効果が確認できる不凍タンパク質の濃度範囲を把握したところから、概ね順調に進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
スクロース溶液を用いた試料については、AFPの種類、添加AFP濃度、試料の加熱処理条件、共存物質(塩、多糖類)が再結晶化の抑制効果におよぼす影響についての概要把握を進める。特に、AFP添加濃度の影響については、AFP濃度と再結晶化速度抑制率の関係の数値的モデリングを行い、再結晶化速度抑制率のAFP濃度依存性の予測を試みる。 米飯ペースト、高濃度小麦ドウ試料については、新規の氷結晶の観察方法を試みるものとする。
|