研究課題/領域番号 |
23K02011
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
高峯 和則 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (10433070)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 黒糖焼酎 / 常圧蒸留 / 減圧蒸留 / 甘香 / 揮発成分 / 焼酎 / 黒糖 / 香気成分 |
研究開始時の研究の概要 |
黒砂糖は、キャラメルや綿菓子などの甘く香ばしい香りと表現される。黒砂糖と米麹を原料にして、発酵させた醪を100℃付近で蒸留(常圧蒸留)して製造した黒糖焼酎は、黒砂糖の甘香がある。しかし減圧蒸留(醪温度約50℃で蒸留)では淡麗な酒質で甘香が弱くなる。このことから黒糖焼酎の甘香は、蒸留時の加熱反応で生じる香気成分や低温では蒸発しにくい揮発成分が大きく寄与していることが示唆される。そこで本研究では、常圧蒸留黒糖焼酎と減圧蒸留黒糖焼酎の揮発成分を比較することで、黒糖焼酎の甘香に寄与する香気成分を特定するとともにその生成メカニズムを明らかにし、甘香が増強した黒糖焼酎の製造を目指す。
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研究実績の概要 |
麹米503g、黒糖720gを用いて、黒糖焼酎醪を4L規模で仕込み、30℃の水浴中で発酵させた。発酵は順調に進行し、16日で発酵は終了した。得られた醪を2つに分けて、減圧蒸留器及び常圧蒸留器にて蒸留を行った。減圧蒸留は醪温度が50~55℃で制御した。常圧蒸留は92℃付近で沸騰が始まり、99℃付近で蒸留が終了した。減圧蒸留焼酎0.8Lと常圧蒸留焼酎0.5Lを得た。 これを、2ヶ月間ほど貯蔵しガス成分(主にアルデヒド類と硫黄化合物)が自然に抜けた後、アルコール度数を25%になるように脱塩水で希釈してた。これにより不溶化した脂肪酸エステルなどを3μmのメンブランフィルターで濾過することで、透明な焼酎を得た。これを、ヘッドスペース対応のGCMSにて揮発成分を分析した。 その結果、常圧蒸留焼酎のみに検出される13成分、減圧蒸留焼酎のみに検出される成分は無く、そして共通の成分31成分を同定した。甘香を特徴とする成分として、クロトン酸エチル、フェニル酸エチル、フルフラール、2-メチルブチルアルデヒドが検出された。また、フルーツ用の甘味を特徴とする成分として、酢酸オクチル、イソ酪酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミルなどが検出された。 それぞれの成分について、5点検量線を作成し濃度求めた。クロトン酸エチル、フェニル酸エチル、フルフラール、2-メチルブチルアルデヒドは、常圧焼酎でそれぞれ0.61, 2.08, 52.9, 24.6μg/L、減圧焼酎で0.25, 1.74, 0.0, 0.0μg/Lであった。イソ酪酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミルは常圧焼酎で7.75,8.87,140μg/L、減圧焼酎で2.27,1.55,1.59μg/Lであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
常圧蒸留焼酎と減圧蒸留焼酎を製造し、それぞれの揮発成分についてGCMSで分析定量を行う当初の目的を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
減圧蒸留焼酎と比べて常圧蒸留焼酎に2倍以上検出されて成分と、常圧蒸留焼酎のみに検出された成分のなかで、閾値以上の成分について、減圧蒸留焼酎に常圧蒸留焼酎と同程度の濃度になるように添加して、常圧蒸留焼酎の香りに寄与する成分を明らかにする。なお、閾値は、公表された値がある成分はそれを引用し、無い成分は閾値を3点識別による官能評価により求める。 また、常圧蒸留焼酎の香りに寄与する成分について、由来(原料、発酵条件、蒸留による加熱反応など)を明らかにする。 また、減圧蒸留に比べて常圧蒸留が数多くまた高濃度に揮発成分が含まれている。その成分が生成する温度帯を明らかにする。減圧蒸留は醪温度50~55℃、常圧蒸留は92~99℃付近である。そこで、黒糖焼酎の醪を50℃から一定温度毎に上昇させ、GCMSにて揮発成分を分析することで、最適な温度を明らかにする。
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