研究課題/領域番号 |
23K02025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 公益財団法人大原記念労働科学研究所 |
研究代表者 |
松田 文子 公益財団法人大原記念労働科学研究所, 研究部, 特別研究員 (40399340)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 多言語文化 / ピクトグラム / コミュニケーション / 危険標示 / 安全行動 / 幼児教育 / 本質安全 / ICT / 安全 / 多言語理解 / 認知 / 保育士 / 幼稚園教諭 |
研究開始時の研究の概要 |
標識・表示のデザインとして絵文字を用いることは、鉄道や道路案内での交通分野や、工場や危険地帯での注意喚起として、文字表記よりもわかりやすい伝達手段として用いられてきた。 近年、他言語文化圏からの外国人の移入に際し、ごく一般的な邦人子弟らと混在した保育施設においては、他言語文化圏の幼児らに向けた言語景観を整える急場しのぎの対応が保育士らの業務課題として浮上しているとの報告もある。本研究においては、多言語文化が混在する環境下での情報伝達として、ピクトグラムの作成の方法論を活用し、保育の現場でより簡便に安全な言語景観を整えるための手順を明らかにし、保育士らが参加型で運用できるツールとして提供する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、多言語文化が混在する環境でピクトグラムの方法論を活用し、認知機能が発達過程の幼児ら、併せて地域保育で増加傾向にある多言語文化圏からの言語伝達未習熟な幼児らを対象に、危険や安全行動を効果的に伝え得る手法についての調査実験を行い、保育現場でより簡便にそれらの情報景観を整えるためのピクトグラム作成手順を開発することにある。 調査実験の予備調査として、幼保施設、児童館・学童管理の担当者、その実体験を持つ研究者、幼保施設の施工業者らに面会し、現状の課題について情報を収集した。多国籍子弟の受容経験豊富な施設(施設認可:幼保こども園)では、実際、イラスト標示を多用しているが、既存イラスト集・フリー素材等を活用しても、微妙にアレンジが必要・手間がかかるとのことであった。対照的に受容経験が稀有な施設(認可保育園)では、標示・案内は極小で、基本的に施設・設備安全は園児らに危害が及ばぬよう、フールプルーフ的な本質安全設計とその維持が主で、園児には日常主言語の口頭(日本語)での注意教育を主たる方針としていた。専門家(当事者・経験者)の意見では、他言語文化圏の保護者への連絡文書で英語表記が一つあるだけでも、ICTを活用したコミュニケーションが可能となる経験が挙げられた。一方でこども同士は柔軟で言語の壁は越えられる、初期のきっかけは必要だが全園的に英語の早期教育の導入は否定的で,むしろ言語化できないものへの配慮が重要との指摘があった。 また、臨床心理士に、子どものロールシャッハテストやゲシュタルトの性質など、意見聴取を行い、その感受性の応答や認知特性について知見を得た。併せて、色彩学の専門家に、子ども向けのデザインの特徴について情報提供を求め、研究への示唆的な意見を聴取した。 保育士らへの日常の業務負担、子どもらへの対応の現状調査について内容を検討し、実施準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保育現場実態調査(現場視察、ヒアリング)を下半期に予定していたが、卒園入園準備もあることから年末~年度末での日程調整が難しく、次年度に持ち越された。令和6(2024)年度に実施を予定している。空いた期間で、専門家への意見聴取を優先させ、研究期間全体への影響が少なくなるように工夫した。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の現状調査を踏まえ、幼保教員らの業務内容とピクトグラム制作への素養の有無をアンケート調査により把握する。その結果を踏まえ、業務負担にならないよう簡便化されたピクトグラム作成の手順要素を明確にする。また、併せて幼児らに正しく情報が伝えられるピクトグラムの形式要素の認知度を測る実験的調査を策定し、実施の上、その成果を手順内容に反映させる。具体的内容は下記の通りである。 調査実験計画の構築と調査実験用資材の開発:調査実験について、その検討課題や実験計画を設計しつつ、その調査実験に用いる資材の開発を行う。試行ピクトグラムについては、 素案を基にして、デザインの構成を外部業者に委託を行う。 実験的調査の実施: 実験的調査においては、質の異なるピクトグラムデザインを複数用意し、その提示への幼児の認知の度合いを半構造面接的な高感度差異抽出法を用いて評価する。 ピクトグラム作成ツールの取りまとめ: 解析結果を踏まえ、ピクトグラムを作成するためのツール試案を作成する。具体的には、①標示する事柄・内容からのピクトグラムへの反映すべき要素の抽出を行うチェックリスト、②要素に基づくピクトグラム図案の雛形、③図案化のための留意ポイントリスト、といった構成を予定している。
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