研究課題/領域番号 |
23K02039
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
佐野 光枝 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (20524911)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2027年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 妊娠中の食事 / 羊水 / 気質 / アミノ酸 / 脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
帝王切開で出産予定の健康な妊婦をリクルートし、研究参加について同意を得た後に次の①~⑥を行う。帝王切開にて出産時に①羊水と臍帯血の採取、出産翌日に②母の採血、出産数日後に③食事調査票と④ストレスに関するアンケートの記入、出産3か月後に⑤母と子の気質テスト、出産9か月後に⑥子の二回目の気質テストを行う。①②の試料中のアミノ酸と脂肪酸の濃度を測定し、③~⑥の結果と比較解析する。解析結果から、気質のマイナス因子を抑えるアミノ酸や脂肪酸の種類や適正な摂取量を明らかにする。
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研究実績の概要 |
妊娠中の栄養不良やストレス暴露などにより胎内環境が悪化すると,胎児のエピゲノムが変化し,成人後に生活習慣病などの疾患リスクが増加することが報告されている(DOHaD説).この胎内環境が子に与える影響についての報告は疾患リスクだけでなく,神経機能や行動,発達,「気質」など多岐に渡る.気質(Temperament)とは心理学用語で,個人の性格の基礎にある遺伝的,体質的に規定されたものであり,情動反応の背景にある本来の感受性,反応強度,テンポ,気分素質を総称したものである(Rothbart & Derryberry, 1981).近年,子どもの気質の個人差が後の問題行動・対人関係などに影響を及ぼすことが報告されており,その基盤となる「乳児の気質」が注目されている. 研究代表者らは,母体の脂質摂取量と17種類のアミノ酸濃度が正の相関を示すことを明らかにしてきた.17種類のアミノ酸の中には神経伝達物質として働くものも含まれており,これらアミノ酸の摂取による子への影響の中で「気質」に着目した.子どもの「気質」を形成する修正可能な要因を明らかにし,子の気質からマイナス因子を抑えることは将来の円滑で健康な社会の形成に役立つ.本研究は成長後のパーソナリティや社会的発達の基盤となる「乳児の気質」に着目し,修正可能な要因として妊娠中の食事に含まれる栄養素の中で「乳児の気質」に影響を与えうるアミノ酸とn-3系脂肪酸の種類と量を明らかにし,「乳児の気質」のマイナス因子を抑えるために妊婦が摂るべき食事を介入戦略として提案することを目指している. 本研究はまだ1年目を終えたところであり、生後3か月の気質テストの結果は11名分しかない。まだ人数が少ないために現時点で記述できる結果は無いが、気質テストの結果は個人差が大きいということは分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度は本研究課題の初年度だった。4月に調査先の病院の許可を頂き、5月に所属大学の「ヒトを対象とした研究倫理審査」の申請書を提出した。その後、数回の審査を受けて8月末に承認が得られた。9月上旬から研究を始めることができ、3月末までに17人の被験者から研究協力の承諾を得た。1年間で25名の調査を予定しているが、昨年度は半年間のリクルートで17名を調査できたので、順調だった。 本研究は縦断研究であり、調査ポイントは出産時・産後3か月・産後9カ月の3回である。3月末時点で産後3か月の調査ポイントを迎えた被験者は12名であり、この時点での脱落者は1名だった。これも予想よりも少なく、順調に進んでいる。 まだ3回目の調査ポイントを誰も終了していないため、現時点で記述できる結果はほとんど無いが、被験者の年齢やBMI、子の出生体重などの基礎データは、過去に研究代表者が行ってきた研究結果と変わらない。 近年、全国的に出産数が減少しているが、研究協力を頂いている病院ではリクルートの条件である帝王切開による出産数が多く、承諾してくれる方も多かった。承諾してくれる方が多かった理由としては、謝金を支払うということもあるが、リクルートに行っているのが学生であるため、卒論や修論の研究を応援したいという被験者の心遣いもあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現時点で研究は順調に進んでいるため、本年度も昨年度に引き続き新規被験者のリクルートを行うと共に、並行して産後3か月と9カ月の調査ポイントを迎えた被験者に調査を実施する。
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