研究課題/領域番号 |
23K02042
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 金城学院大学 |
研究代表者 |
長嶋 直子 金城学院大学, 生活環境学部, 准教授 (30459599)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 環境調和型 / 再生繊維 / リヨセル / 酸化還元酵素 / ラッカーゼ / 天然由来色素 / 天然色素 / 酵素 / 染色 |
研究開始時の研究の概要 |
酸化還元酵素ラッカーゼにより発色・濃色化した天然色素を、再生繊維リヨセルの染色に応用し、金属媒染剤を用いずに濃色かつ堅ろうな染色が得られる最適条件を検討する。さらに、廃棄が予定されている食品などから得た色素を用い、ラッカーゼによる発色作用を調べ、リヨセルへの染色性、染色布の堅ろう性、物性などを明らかにする。再生繊維リヨセル、天然色素、生体由来物質の酵素といった低環境負荷型資源による染色システムを構築することで、多量の水、薬剤、エネルギーの使用に依存しない衣生活を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、原料調達から製造までに多量の水、薬剤、エネルギーの使用に依存した衣生活から脱却し、低環境負荷型の繊維染色加工の構築である。先行研究において、フラボノイド系色素のバイカリンを酸化還元酵素ラッカーゼで処理した色素水溶液を用いて羊毛、ポリ乳酸繊維の染色を試み、エコフレンドリーな染色を実現してきた。初年度は、その手法を応用し、バイカリン/ラッカーゼ水溶液を用いて再生繊維リヨセルの染色(pH4.5、75℃、6時間、浴比1:100)を試みた。染色布の表面反射率(最も高い反射率:400nm)からみかけのK/S値を求めた結果、バイカリン単独で染色したリヨセル布のK/S値に比べ、バイカリン/ラッカーゼで発色した色素溶液を用いた方が高く、やや濃色に染めることができた。しかしながら、目視ではごくわずかに黄色に着色したことが認められる程度であった。また、6時間以上染色しても濃色な染色は得られなかった。 色素バイカリンと同様にカテコール構造を有する色素として、緑茶の葉などに含まれるカテキン類がある。そこで、廃棄されるジャスミンティー(香りづけした緑茶)を使い、リヨセルに対する染色性を調べた。茶葉の50倍量の水で90℃、10分間、加熱抽出し、ろ過して色素溶液を得た。その色素溶液は、ごく短時間放置したのち濃色化したため、ラッカーゼを添加せず染色に用いてみることにした。その結果、色素溶液は空気酸化日数が1日<3日<7日と長くなるほど濃色になり、リヨセル布も若干濃色に染まった。また、リヨセルをカチオン化前処理をしてから空気酸化させた色素水溶液を用いて染色すると、より濃色に染まることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイカリン以外の色素として、カテキン類に対するラッカーゼ添加効果の検討に着手できず、当初計画よりも遅れてしまった。その理由は、本研究課題と並行して、1年延長を認めていただいた課題にも取り組んでいたためである。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に取り扱ったジャスミンティーから得られる色素溶液をはじめカテコール構造を有する色素を酸化還元酵素ラッカーゼで発色させて、リヨセルの染色を行う。 染色後の繊維の強度、風合いなどの消費性能は、実用上重要な要素である。リヨセルは湿潤状態で摩擦作用を受けるとフィブリル化することが知られている。染色後の繊維表面状態を電子顕微鏡(SEM)で観察し、さらに表面組成分析(XPS)を行う。染色後のリヨセルの強度(引張、摩耗など)をJISに準拠して調べ、染色温度、時間と繊維強度について検討する。リヨセルを用いて、KESシステムによる染色布の風合い(コシ、ハリ、シャリなど)の評価を行う。染色堅ろう度試験も行い、濃色で堅ろう性を有する染色条件を確立する。
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