研究課題/領域番号 |
23K02059
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
山岸 知幸 香川大学, 教育学部, 教授 (60304375)
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研究分担者 |
笹屋 孝允 香川大学, 教育学部, 准教授 (90781120)
清水 顕人 香川大学, 教育学部, 准教授 (00882747)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ケアリング / 共感性 / 児童 / 授業研究 / アクションリサーチ / 小学校 / ケア / 関係構築 / アクション・リサーチ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,主に教科指導場面における児童のケア・共感性の発達過程,およびそれに関わる諸要素との関係についてのモデル構築を目的とする。先行研究を手がかりとした理論研究と実践開発,小学校教員を協力者としたアクションリサーチ,質問紙調査などを方法として,児童のケア・共感性の発達過程やそこでの教師の役割や実践方法の特徴を検討し,実践的示唆を得る。また,児童のケア・共感性の発達と,友人関係,学級雰囲気などの諸要素との関係を量的に検討,検証する。さらに,幼児教育の知見と本研究の結果を比較考察し,乳幼児期から児童期に至るケア・共感性発達過程のモデルを実証的に構築する。
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研究実績の概要 |
2023年度は本研究の初年度にあたり、児童のケア・共感性の発達を促すための教育的アプローチの開発を行った。研究成果は順次まとめているが、ここでは、すでに学会で発表した成果を説明する。2023年11月に開かれた国際学会で発表した研究成果として、児童のケア・共感性の発達を促すための教育的アプローチの1つに、教師が児童の授業へのエンゲージメントを高めることと同時に、児童間のケア的な関係構築を授業中に戦略的に支援すること、また、教室の壁面掲示など児童間の関係構築を促す教室の物的な環境の構築があることを、日本国内の先進的な事例から明らかにした。 また、教師による児童の共感的な理解のあり方を検討するために、教師の共感性の発達に関する研究を行った。教職経験のある大学教員にインタビュー調査を行い、教師の私的な経験、特に解決が不可能な問題との遭遇や社会的弱者と直接かかわる経験が、教師の共感的な理解を促す場合があることを明らかにした。この研究成果については学会発表後に精緻化、論文化を終え、2024年度に国際学会でポスター発表を行う予定である。 さらに、2024年度以降に具体的に行っていくアクションリサーチの方法の開発を行った。大学と小学校の間で頻度の高い協同研究を行う環境構築のためにICT環境の活用をそのための方法として見出し、オンライン環境を活用して授業研究を円滑に行う方法を開発した。こちらの具体的な研究成果については2024年度中に発表する予定であるため、ここでの説明は割愛する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は本研究の初年度にあたり、理論構築が研究活動の主な内容であった。具体的には、文献調査により児童のケア・共感性の発達を促すための教育的アプローチの具体的な方法の開発、また、それを小学校の授業場面に応用する方法の探求、さらに、アクションリサーチすなわち大学研究者と小学校の教師との協同による授業研究の方法の開発、の3点である。 教育的アプローチの具体的な方法の開発についてはおおむね順調に進んでいる。文献調査を方法として、研究代表者、研究分担者のこれまでの研究成果と接続する形でまとめた。これらの成果としてまとまったものは国際学会にて口頭発表を行い、また、会場での質疑応答を経てその修正や精緻化を行った。さらに、すでに発表した成果を含め、成果を論文化する作業中であり、2024年度中に複数の論文を刊行する予定である。教育的アプローチの探求については引き続き行っており、情報の収集に努めている。 また、実践現場においても教育的アプローチの探求を進めている。そのために、小学校の授業場面へ応用するための方法の検討を行った。こちらの検討についても継続的に行っている途中で、2024年度以降も引き続き行っていく予定である。 さらに、大学研究者と小学校の教師との協同による授業研究の方法の開発についても順調に研究が進んでいる。1つの方法については研究成果もすでにまとまり、国際学会のポスター発表に発表要旨を応募して査読を受けた。こちらも2024年度中にポスター発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降は、これまでに開発してきた、児童のケア・共感性の発達を促すための教育的アプローチを、小学校の授業場面で実際に試行していく計画である。その教育アプローチの具体的な方法については2023年度中に開発が進んだが、実際の教室、児童の特徴に合わせてそれらの方法を修正していく。また、文献調査や先行的事例の調査による、教育的アプローチの新たな開発も引き続き行っていく。これらの研究成果は2024年度中に論文にまとめ、複数投稿する予定である。 また、アクションリサーチも試行的に開始し、大学研究者と小学校教師の協同による授業研究を実際に行っていく。こちらも2023年度中に開発した授業研究の方法を、2024年度中にまとめて発表する予定である。また、2024年度以降もアクションリサーチ、授業研究の方法も、実際に行いながらそれらを円滑に進める研究のあり方を模索していく。
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