研究課題/領域番号 |
23K02073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 芦屋大学 |
研究代表者 |
三羽 光彦 芦屋大学, 臨床教育学部, 特任教授 (90183392)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2026年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 青年師範学校 / 青年学校 / 教員養成 / 中学校 / 職業教育 / 師範学校 / 青年教育 / 大学 / 青年期教育 / 中等教育 |
研究開始時の研究の概要 |
1920年の実業補習学校教員養成所をもとに、青年学校教員養成所を経て1944年に青年師範学校が設置された。この教員養成機関は師範学校と同等の修業年限3年の専門学校レベルの高等教育機関とされ、最後は戦後の新制大学に包含されることになった。この独自な性格を持った青年師範学校は、戦中・戦後直後の特殊な環境でなければ、大衆的な新たな中等教員養成機関として発展する可能性を持っていたのではないかと考える。大衆的中等教育を担う教員養成の充実は今日的課題でもある。本研究は、歴史に埋もれた青年師範学校の実態を明らかにするとともに、そこに内在した大衆的中等教育を担う教員養成の可能性をさぐることを目的としている。
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研究実績の概要 |
青年師範学校は、1944年4月から51年3月まで7年間しか存在せず、その期間は戦中・戦後の混乱期にあたっている。また、実業教員養成の機能は新制大学の農学部や工学部に移された事例も多く、学芸学部に吸収されたものは「この学校の伝統と教育の特質」は消え去ったといわれるように、青年師範学校の資料はそれほど多く存在していない。 本年度は研究初年度であるので、まず、学校文書や同窓会文書、関係者文書として残存しているものを調査するため、各国立大学の所蔵文書を調査した。1.新潟大学調査(2023年6月27日)、2.富山大学調査(7月3日)、3.山梨大学調査(10月30日)、4.横浜国立大学調査(2024年3月11日)である。これらの大学では学校公文書はほとんど残っておらず、刊行されている大学史の記述以上の資料を見つけることはできなかった。しかし一部、校友会関係、卒業同窓会関係の貴重な資料があることが分かった。 これらの資料から、戦前から戦後にかけて青年師範学校には新進気鋭の個性的な教員がいたこと、戦後には青年師範学校連盟が結成され、青年学校関係者をけん引する6・3・3制への運動、文化的活動が盛んになったことを確認することができた。特に戦後直後から師範学校、高等学校等との対抗試合など、スポーツ活動が盛況であったことも資料から知ることができた。 また同窓会活動においては、中学校教員としてのつながりから退職後に至るまで堅い結びつきを持ち活発に活動している事例が多かった。これらの記述は、公文書にあらわれない青年師範学校の実態を知ることができ、戦時の動員や教育実習、戦後の状況や国立大学創生期の青年師範学校の動向などにおいて貴重な資料として活用できる。今後は、青年師範学校を継承した全国の国立大学で調査を実施したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の前に科学研究費をうけて実施していた「近代日本における実業補習学校と地域社会に関する研究」(20K02552)が、新型コロナの関係で1年延長となっていた関係から、本年度はその研究の最終年度となり、科研の研究が2本になった。そのことにより、あらたに実施した本研究はややや遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、青年師範学校を継承した全国の国立大学において順次調査を実施したい。特に、1.学校公文書、2.大学史刊行に関係する資料、3.校友会資料、4.同窓会関係資料、5.教育会誌の記事、6.新聞記事、などを調査し、戦中戦後の青年師範学校の実態を明らかにする。 その際の視点としては、1、普通教育と職業教育をどのように統合的に把握したのか(普通教育と職業教育の統一)。2、農林水産業などの実体験を重視した労作的教育はどうであったのか(教育と労働の結合)。3,社会教育と連携した地域社会の担い手を育成する教育はどう追求されたのか(学社連携の視点)。4、師弟が起居を共にする寄宿舎制度(寮制度)どのように活用されたのか(塾風の共同生活訓練)。5、生徒自治(自治訓練)制度と戦後の自治会活動はどのようなもにおであったのか。6,青年師範学校と戦後の6・3・3制改革とのかかわり。7、文化・スポーツの公友会活動はどうであったのか。8、同窓会の結びつきとその活動について、などを考えている。令和6年度は、比較的多く資料が残っているとみられる、兵庫・愛知・長野・鳥取・岩手を重点的に資料調査する。
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