• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

非就学者層に着目してえがく植民地期朝鮮の教育史

研究課題

研究課題/領域番号 23K02074
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分09010:教育学関連
研究機関国立歴史民俗博物館

研究代表者

樋浦 郷子  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (30631882)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード教育史 / 朝鮮史 / 書堂 / 普通学校 / 植民地期朝鮮
研究開始時の研究の概要

本課題は、植民地政策や植民地教育の「受け手」とみなされてきた人々に改めて着目し、 その主体的営み・消極的拒否や抵抗など、これまでの研究では表立って論じることが困難で あった事柄に、可能な限り迫ろうとする。具体的には、非就学の子ども・女性・青年男子の目線や選択などに着目しそれぞれの立場や主体性に即して植民地期朝鮮の教育実態に迫ろうとする。

研究実績の概要

研究実績の概要
本年度はまず、植民地期朝鮮の中南部にある地域(慶尚南道陜川郡草渓面)の公立普通学校(植民地期の初等教育機関)の学校沿革誌の翻刻を行った。その結果、韓国併合直後(1910年代)の朝鮮において公立普通学校と地域の「伝統」教育機関たる書堂の状況を一定程度読み取った。第一に、この地域において書堂は、普通学校の設立後にむしろ新しく続々と設けられる状態にあったと判読した。第二に、とりわけ男児の就学をめぐって、新説の書堂と普通学校とが競合する状況が一時的にせよ現れ、1920年代以降になると書堂にさまざまな規制や圧力がかけられていくものと推定できた。
本年度実施できたことのふたつめとして、植民地期に朝鮮人児童によって書かれた日記複数冊を韓国の書店で購入出来たことを挙げたい。現在それらの分析にとりかかったところでああるが、まずは学校に行くことと、学校に行かないことの間に、大きな間隙が存在することを改めて学ぶことができた。例えば、夜学会や朝鮮に独自の制度である私設学術講習会で児童生徒たちが学んだ場合、日本教育史では「正系」就学をしていない状態とみなされるのが一般的である。朝鮮には、私設学術講習会や夜学校の学びが、もともと初等教育機関(普通学校)の絶対数が圧倒的に少なかったなかでは重要な意味を持っていたことがうかがわれた。
本科研費で購入した朝鮮人児童の日記から、講習会で日本語の日記をつけることを求められていたことや、児童自身が講習会を「学校」と呼称した様子を知ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度であったが、実際に1930年代から40年代に朝鮮人児童が記していた日記を入手できたことにより、児童生徒の側が植民地下に置かれている日々をどのように生きていたのか、一端をうかがい知ることができている。その結果、いまだ研究の緒に就いたばかりではあるが、普通学校に就学していないことが必ずしも「学校に通わない」ことではないと考えるに至っている。今後も引き続きペースを守りつつ柔軟に計画を修正しながら研究を進めたい。

今後の研究の推進方策

「学校に通わない」ことと公私立学校への「不就学」は実態としては乖離しているということを、日記を通じて知るようになり、植民地期朝鮮で学ぶということの意味の重層性、重みを感じている。収集している日記は手書きであるため、今後も時間がかかることが予想される。今年度は日記の検討を中心に、次年度にかけては行政文書・学校文書や地域資料や新聞資料の収集と検討に着手する。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 3件、 査読あり 1件)

  • [雑誌論文] (資料紹介)草渓公立普通学校沿革誌―植民地期朝鮮の地域教育史―2024

    • 著者名/発表者名
      樋浦郷子
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 248

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「皇国泰平寿語録」から新時代を読む2023

    • 著者名/発表者名
      樋浦郷子
    • 雑誌名

      文部科学教育通信

      巻: 557

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 関東大震災における流言の拡散2023

    • 著者名/発表者名
      樋浦郷子
    • 雑誌名

      大原社会問題研究所雑誌

      巻: 782 ページ: 1-15

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi