研究課題/領域番号 |
23K02075
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
望月 由美子 北海道大学, 教育学研究院, 非常勤研究員 (10759046)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | イタリア / インターカルチュラル教育 / 統合 / 教育機会保障 / 教育制度 / 移民教育 |
研究開始時の研究の概要 |
移民ルーツの子どもたちにとって最初の社会的受け皿となるのは地域にある学校である。ことばや生活習慣、社会環境の違いから困難を抱える子どもや若者たちの人権を守るため、彼らが生きていくために必要な教育支援や職業訓練の保障はホスト国やその地域社会の課題となっている。本研究は移民大国であるイタリアのトレント自治県を対象に調査を行い、言語的文化的マイノリティの子どもに対する教育支援のあり方を教育行財政制度、基本的法整備、学校の専門支援員配置等の点から検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際移民の課題が多様化・複雑化するイタリアにおいて、言語的文化的マイノリティである学齢期の子どもたちの学校受入、統合に関する国レベルの教育政策・制度変遷を俯瞰しつつ、自治体レベルの教育政策、地域的ニーズや活動についての実地調査を行い、制度運営のあり方についての政策効果や課題、改革の方途を探ることにある。 初年度は、移民教育政策の柱である異文化間教育の運用状況・実情を知るため、先駆的な取り組みをみせるトレント自治県を中心に、ボローニャ、プラート、ミラノ等の自治体でも実地調査し、行政・学校・研究機関の関係者等への聞取りから、地域社会・自治体がもつ移民問題の特徴や支援組織の存在、学習支援プロジェクト、そこでの課題について検証を行った。 併せて学校外の民間組織(協同組合、ボランティア団体等)における異文化間教育の実践についても幾つか調査を行い、そこで近年課題となっている保護者のいない外国人未成年者の支援や移民グループの中でも困難を抱えやすい女性や幼い子どものいる母親を対象とする支援活動など、インターセクショナリティの視座からもデリケートな個人史を抱える当事者への支援活動の実態について確認した。但し、担当者からの聞取りから伺えた実情として、イタリアでは官民機関ともに自治体やEU、大学等からプロジェクト基金を獲得しつつ運営を成り立たせている実情があり、活動の持続性をいかに担保するかの財政課題が大きかった。異文化間教育の認知・実践・理解定着度が高い反面、人的・財政的課題の課題解消を図る措置は模索中である。制度運用とそれに係る基盤資源の確保を含めた各自治体・地域の実態調査へとステップを進める研究基盤固めの一年となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究成果の一部は、学会発表2回にて公表し、論文を2本執筆した(2本とも2024年度に刊行予定)。また、当初の計画では主にトレント自治県を中心に研究を行う予定であったが、現地で知己を得た研究者、専門教員、自治体関係者の紹介を得て、想定していた以上にネットワークが広がり、テーマも当初より広がりをみせており、順調な進展をみせている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は、初年度に行った聞取り調査、収集した文献資料のデータ整理と論点の見直しを図りつつ、すでに連絡をとっているボローニャとプラート、モーデナの教育・行政機関への調査を継続する予定でいる。その際、近年増加が懸念されている、保護者のいない外国人未成年者の教育保障の場としてCPIA(県立成人教育センター)が重要な役割を担い始めている実情を初年度の調査で知り、イタリアでもまだ新しいこの研究分野についても、比較調査対象を広げつつ掘り下げる予定でいる。 公教育機関と民間団体、その中間に位置する自治体公認の教育組織が、どのように各々の独立性と連帯関係を保ち、地域に根ざす多言語・多文化コミュニティを成長させる力となるのか。官民の横断的な関係のなかでしか生まれてこない豊かな経験や知見が提供されることを期待し、現地調査を続ける予定でいる。 また、初年度の調査で得た知見をまとめ、所属学会等で研究成果の発表を行う予定である。
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