研究課題/領域番号 |
23K02081
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
朴木 佳緒留 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 名誉教授 (60106010)
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研究分担者 |
井上 えり子 京都教育大学, 教育学部, 教授 (90314567)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 高校家庭科 / インタビュー調査 / 高度成長期 / 家庭科教育 / 主婦養成教育 / 生活技術 |
研究開始時の研究の概要 |
高度成長期の高校家庭科で取り扱われていた生活知・生活技術の教育の実際について、当時の家庭科教師及び生徒へのインタビューを行い、「聞き書き」としてまとめる。調査対象地は神戸市、勝山市、京都府(京都市近辺)である。韓国の高校家庭科教育事情との比較検討も行いつつ、作成した「聞き書き」を分析・考察する。その際、従前より「主婦養成教育」として理解されてきた高度成長期の高校家庭科教育について、地域特性の存在に留意しながら、生活知・生活技術に関する学びの様態を実証的に明らかにし、「主婦養成教育」として概括されてきた教育を実証的、重層的に再検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は高度成長期の高校家庭科の実情を当時の高校家庭科教師へのインタビュー調査により明らかにし、同期に展開されていた「主婦養成教育政策」を教育の現場から検証することを目的としている。2023年度は本研究の核である元・高校家庭科教師へのインタビュー調査計画を精査する作業を行った。まず調査研究の第一段階として、インタビュイーを紹介いただくインフォーマントに調査内容の詳細説明と協議を行った。インフォーマントは2名であり、うち1名にはインタビュイー候補者6名を紹介いただいき、3名にインタビューを行ったが、残りの3名には調査に対応いただくことが出来なかった。もう一人のインフォーマントについては、調査の概要説明を行った段階で逝去、という予期せぬ事態が起こった。したがって、想定していたインタビュイーの紹介を得ることは不能となった。 以上の事情により、2023年度のインタビューはインタビュイー3名に対して計4回実施し、インタビューの「聞き書き」作成のための作業を行った。また、インフォーマントの逝去やインタビュイー候補者の高齢を理由としたインタビュー不能という予期せぬ事態を受けて、元・高校家庭科教師が教育実践を行った地域の選定についても再検討を迫られ、以下のように計画変更した。研究構想時には「共稼ぎ普及地域」「夫片働き多数地域」「高校家庭科男女共修先進地域」の3地域としていたが、「高校家庭科の男女共修先進地域」と「非先進地域」の二つに大別することとした。2023年度に実施した3件のインタビュー調査より得た知見について、研究代表者は今日的事案の解説記事において、研究協力者は学会報告において、各々、歴史的視点を加味することで活かすことが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の核となる元・高校家庭科教師へのインタビュー調査は対象者が高齢であるため、一定の困難を伴うことは研究計画策定の時点で予想していたが、実際には、2名のインフォーマントのうち1名の突然の逝去という予期せぬ事態が生じた。そのため、紹介いただくはずであったインタビュイーの人数が半減し、さらに紹介を得たインタビュイー候補者6名のうちの3名は調査に応じていただくことができなかった。以上の事情により、2023年度にインタビュー調査に応じていただいた元・高校家庭科教師は3名に留まった。 「夫片働き多数地域」においては、「雪だるま方式」によりインタビュイーを得る予定であったが、実際には、紹介されたインタビュイー候補者の相当数が高齢のためインタビュー調査に応じていただくことが出来なかった。インフォーマントの突然の逝去により、インタビュイーの紹介ルートを再探索せざるを得ない事態が生まれ、新たに別のインフォーマントに調査への協力を依頼したが、インタビュイーにたどり着くまでに相当の時間を要した。 本研究のインフォーマント及びインタビュイーはいずれも80歳を超える高齢者であり、調査依頼や調査日時等の調整などの度重なる連絡を手紙で行わざるを得ず、一つの調査を実施するまでには相当な時間を要することも調査の遅れの原因となった。 以上の事情により、2023年度のインタビュー調査はインタビュイー3名に対して計4回の実施に留まった。インタビュイーの高齢は本研究の構想時より想定していたことであったが、想定を超える数の人々がインタビューへの対応困難であることが判明したため、インタビュイーの居住地域(高度成長期に家庭科教師として教育実践を行った地域)の選定についても再検討を迫られた。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は新たなインフォーマントを得ることが出来たため、インタビュー調査に邁進したい。具体的な方策は以下である。 第一に調査対象地域を「共稼ぎ普及地域」「夫片働き多数地域」「高校家庭科男女共修先進地域」の3地域に限定していたが、これを「高校家庭科男女共修先進地域」と「高校家庭科男女共修非先進地域」の二つに大別再編することにより、調査対象者を全国から得る体制に変更する。「高校家庭科男女共修先進地域」は京都府と長野県であるが、いずれの府県においても研究分担者が調査依頼のルートをすでに開拓している地域であり、インタビュイーを得る可能性は高い。 第二に、2023年度末に新たなインフォーマントを得ることが出来たため、調査対象地域を拡大することと相まって、2024年度には2023年度より多くのインタビュイーを得ることができる。 第三に、インフォーマントについてもさらに増員する努力を行い、インタビュイーの量的確保に努める。 2023年度の調査経験より、インタビュイーへのアクセスは時間との戦いであることがはっきりとした。そのため、個々のインタビュー調査結果を「聞き書き」の形で整理し、その後のインタビュー調査につなげる作業の手順を簡略化し、インタビュー調査の実施を優先したい。同じく2023年度の調査経験より、元・高校家庭科教師だけでなく、当時の女子高校生つまり高校で家庭科を学んだ元・生徒の証言も有益であることが分かった。そのため、インタビュイーに元・高校女生徒を加えることも試行したい。
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