研究課題/領域番号 |
23K02082
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
大村 隆史 香川大学, 地域人材共創センター, 講師 (70874361)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2027年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2026年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2025年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2024年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
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キーワード | 社会教育 / 社会事業 / 教育的救済 / 方面委員 / 地域史 / 地方史 / 善隣館 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1920年代から石川県で創設された社会改良委員制度(後の方面委員制度)と、彼らによって1930年代に創設されたセツルメント「善隣館」の実践に焦点をあて、善隣館がどのような経緯や思想をもって成立し、どのような実態があったのかを究明する。その際、現代社会教育の系譜の一つである「社会事業的社会教育」の研究枠組みに照らしながら、中央政府の政策動向や思想・論理に対して地域社会を構成する実践としての「善隣館」を地方史的に描写していく。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、大正~昭和初期における社会事業において最も大きな課題の一つとされていた生活困窮者の教育的救済の実際について、いくつかの地域の資料調査を通じて実証的に明らかにすることである。また、教育的救済に含まれる福祉の要素を現代的に再構成し、貧困や障がいといった生活に困難を抱える人々の多様な生活現実に対応可能な社会教育理論を精緻化していくことを目指す。 2023年度は、採択以前までに取り組んできた研究成果を取りまとめ、博士学位論文(研究テーマ:社会事業的社会教育の理論と構造に関する研究)を提出した。博士学位論文では、大正期に石川県で創設された方面委員制度と善隣館の実践に注目し、その理論的・思想的背景や、地域社会における位置づけと実態の構造的把握を試みた。近代日本社会事業の通説としては、国家施策としての社会事業は国益の増強が指向され、貧者や弱者の救済に関しては消極的だったと評価されてきたことに対して、本研究では地域住民の暮らしに配慮をしながら設計された善隣館の諸事業と、さまざまな学習機会に身を置き自己研鑽に励む方面委員の姿をとらえた。そこでは、必ずしも国益や国策に絡めとられない人々の学びと実践があった。善隣館が青年団などの地域団体の事務局としての位置づけを持ち、教育的救済としての実践にとどまらない事業範囲があったことは、地域福祉と地域づくりへの関心が高まり続けている今日の社会教育現場にとって参照されるべき歴史的事実であり、地域社会の変化に応じた事業内容の展開を見せる善隣館の姿を見て取ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基礎的資料となる社会事業関係書籍を入手することができ、入手済みだった史料などと併せて活用することで、本研究の基盤となる博士学位論文を完成させることができた。ただし、その執筆に多くの時間を費やしたことで、当初予定していた石川県内での追加資料調査と学会参加が実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
現地調査や学会報告を軸としつつ、今後は博士学位論文の単著での出版を目指し、出版助成の獲得に向けた準備と原稿の加筆修正をおこなっていく。
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