研究課題/領域番号 |
23K02098
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
|
研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
山中 翔 広島文化学園大学, 学芸学部, 講師 (50847332)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
|
キーワード | ポピュリズム / シティズンシップ教育 / リベラル・デモクラシー / 民主主義 / 市民性教育 / 情念 / 政治的無関心 |
研究開始時の研究の概要 |
シティズンシップ教育理論の多くは参加を強調する民主主義理論に依拠している。一方、政治学において参加を強調する民主主義理論は政治に関心を抱かない人びとを想定していないと批判されている。政治学において盛んに議論されているポピュリズムは政治に関心を抱かない人びとを政治に動員するアプローチとして示唆的であるものの、教育学においては乗り越えるべき課題として捉えられている。そこで、本研究は「ポピュリズムを糸口として、政治に関心を抱かない人びとを射程に入れたシティズンシップ教育の理論をどのように描くことができるのか」という問いを設定し、ポピュリズムに依拠したシティズンシップ教育理論の構築を目指す。
|
研究実績の概要 |
2023年度の研究課題は「教育学におけるポピュリズム理解を整理する」ことだった。以下、この課題の進捗状況を述べる。 一般的にポピュリズムはデモクラシーに対する脅威として捉えられることが多い。このような理解は、教育学においても共有されている。しかしながら、近年の政治学ではポピュリズムの民主主義的側面を指摘する議論も散見されている。このことを踏まえるならば、教育学とポピュリズムの関係を再考する必要があるのではないだろうか。 このような問題関心のもと、ポピュリズムに抗する教育に関する批判的考察をおこなった。手順は次の通りである。(1)リベラル・デモクラシーとの関係に着目し、ポピュリズム論を整理する。(2)ポピュリズムに抗する教育はポピュリズムをどのように捉え、克服しようとしているのかを整理する。(3)(1)・(2)をもとに、ポピュリズムに抗する教育の現状と課題について検討した。 研究の結果は次の3つである。(1)ポピュリズムをデモクラシーに対する脅威としてのみ捉えるのは一面的である。(2)教育においてポピュリズムを受け入れるかどうかは、それがどのような民主的な帰結をもたらすかどうかに左右される。(3)ポピュリズムには毅然とした態度で臨むのではなく、対話の可能性を模索する必要がある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の研究課題「教育学におけるポピュリズム理解を整理する」を概ね遂行することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度の研究課題は「政治の入口へと導く教師の働きかけ」について探究することである。 これまでの研究において、ポピュリズムの民主主義的側面が明らかになった。すなわち、それは等閑視されていた人々の声を顕在化し、デモクラシーを正すことである。ポピュリズムは、情念を動員することで断片的な声を集合的意志へと形成する。 政治学ではデモクラシーへの参加を促す動員モデルの政治理論としてポピュリズムを捉える議論がある。 これらの議論をベースに、政治の入口へと導く教師の働きかけについて検討する。その際、ラクラウやムフの政治理論に影響を受けているクリティカル・ペダゴジーの理論も参照しつつ、研究を進める。
|