研究課題/領域番号 |
23K02099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 高松大学 |
研究代表者 |
藤本 駿 高松大学, 発達科学部, 講師 (10582025)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 教師教育 / アメリカ / 教員専門職基準 / 教員免許 / 教員研修 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、教員専門職基準が米国の教員免許制度及び教員研修制度にどのように影響を与えているのかに着目し、特定諸州や地方学区の詳細な分析を通して、教員の質保証という視点から現代米国における教員免許・研修制度の構造とその運用実態を明らかにすることである。研究方法は、国内外の先行研究の分析に加え、連邦政府や専門職団体による報告書や関連資料、州や学区の法令・規則や議事録等の分析を行う。制度のより詳細な運用実態に迫るために、関係機関への訪問調査やオンラインヒアリングを実施する。
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研究実績の概要 |
本年度は、当初の研究計画に従い、米国教師教育制度の近年の研究動向を整理することと、米国教員免許・研修制度の全米的傾向の解明を目指した。全米的傾向については、先行研究や専門職団体の関連資料をもとに分析した結果、カリフォルニア州(以下、加州)を先進的な事例として抽出した。加州に着目した理由は、教員専門職基準(California Standards for the Teaching Profession, CSTP)を核とした教師教育制度が構築されている点である。また、初任者段階や現職段階などに応じた多様なスタンダードを策定されている点も特徴的である。そこで、本年度は多様なスタンダードがどのような役割を持ち、機能しているのか、誰がどのように活用することが意図されているのか、その全体構造と機能を明らかにすることを目指した。 その結果、CSTPをベースにして他のスタンダードが作成されている点、多様に策定されているスタンダードは相互に関連性を持っている点などが明らかになった。また、CSTPなど理念的なスタンダードを核とする構造化は、理念的なスタンダードの具体的な活用を想定しており、活用主体任せにするのではなく、どう活用するのかも含めて多様なスタンダードを示している点は特徴的である。一方で、加州で策定されているスタンダードは、教員養成段階での活用を想定したものが多い。現職段階を対象とするスタンダードは、テニュアを取得する前の初任者教員を対象としている。スタンダードと現職教員の研修や評価とのつながりは薄く、現職教員の質をどのように保障しているかについては次年度以降の課題としたい。 以上の分析結果については、2023年9月に東京大学で開催された日本教師教育学会第33回大会で研究発表を行った。今後、学会誌または大学紀要へ投稿し、論文化を図りたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主に文献資料の分析をもとに、米国教師教育制度の研究動向の把握や、教員免許・研修制度の全米的傾向を明らかにすることができた。また、2023年11月に分担者として参加する別の科研費により、カリフォルニア州への訪問機会があり、本研究計画を進める上で大いに参考になったため、おおむね順調に進んでいると考えている。今後、特定州の教員免許・研修の制度構造や運用実態に迫るためには、さらなる資料収集を行う必要がある。この点については、次年度現地調査を予定しているため、補填できる見通しである。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、先行研究や専門職団体の報告書など関連資料の分析をさらに進める必要があるが、教員免許・研修の制度構造や運用の実態に迫るために、現地での資料収集や関係者へのインタビュー調査を行う予定である。訪問調査については、渡航費や宿泊費等の高騰を踏まえ、1週間以内で集中的に行う予定である。調査対象は、典型的な事例としてメリーランド州を選定しており、州や学区の担当者を訪問予定である。訪問調査を通して州や学区レベルでの運用の実態に肉薄できると考えている。また、前年度のカリフォルニア州の事例分析についても引き続き行う予定である。
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